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トルク、関節トルクとモーメントアーム

 

 

 

 

スポーツバイオメカニクスを学んでいると、「トルク・関節トルク」というワードが非常によく出てきます。

 

 

それだけ、ヒトの運動を分析するにあたって、よく理解しておかなければならない内容であることが伺えます。

 

 

ここでは、この「トルク・関節トルク」とは一体何なのか?について説明していきます。

 

 

トルクとは?

 

物体が回転せずに移動する運動を並進運動と言い、その並進運動を生むのが「力」です。

 

 

関連記事

・「ニュートンの第2法則」運動方程式

 

 

一方、回転運動において、その回転を生む原動力のことは「トルク」と呼ばれます。(または「力のモーメント」「モーメント」とも呼ばれる)

 

 

トルクの方向は、一般的には反時計回りをプラス(+)、時計回りをマイナス(−)で表します。

 

 

また、このトルクはその物体に作用する力の作用線が、回転の中心(回転軸)からどれだけ離れているかによって変化します。

 

 

~トルク~
N=r×F=|r|×|F|sinθ
(トルク=回転軸〜作用点までの位置×力)

 

 

この「|F|sinθ」は、回転軸から力の作用線までの距離を表します。これを回転運動における腕の長さ、モーメントアームと言います。

 

 

 

 

このモーメントアームが長いほど、同じ力を加えたとしても、トルクは大きくなるわけです。

 

 

 

関節トルクとは

 

このトルクを、関節の回転運動に表したものを「関節トルク」と言います。

 

 

関節トルクは、関節に働く総合的な回転力を表すため、関節を動かす筋力そのものとは別物であることに注意しなければなりません。

 

 

以下の図のように短距離でスタートを切るとき、右脚の膝や股関節を伸ばす力を発揮する必要があります。

 

 

 

 

 

なので、この時右膝には膝関節伸展トルクが反時計回りに、右股関節には股関節伸展トルクが時計回りに働いている、と言えます。

 

 

 

関節トルクと回転の向きは一致するわけではない

 

全力疾走をしている時の、股関節、膝関節、足関節のトルク推移を示したものが以下の図です。

 

 

※馬場ほか(2000)より、作成

 

 

おおよそ、関節が伸展運動している時(例えば膝が伸びる最中)には伸展トルク、屈曲運動している時(例えば膝が曲がる最中)には屈曲トルクが働いています。

 

 

しかし、よく見てみると、関節の回転運動の向きと、トルクの向きが一致していない部分が見られます。

 

 

例えば、膝を前に引き出して、次の接地に向かおうとする局面では、膝が前に振り出されるような運動をしているにも関わらず、膝関節は屈曲トルクが働いています。

 

 

これは膝下が前に振り出ていかないように、膝を曲げる筋力を働かせて、ブレーキをかけて運動の方向を切り替えようとしている最中だと判断できます。

 

 

また同様の局面で、腿が前に移動して屈曲動作をしているのに、股関節は伸展トルクを発揮しています。

 

 

これも同じように、腿が前に移動し続けていると、次の接地に向かって脚を振り下ろすことができなくなるので、伸展トルクを発揮させることでブレーキをかけ、動作の方向を切り替えている…ということです。

 

 

このように、回転運動の方向とトルクの向きは必ずしも一致しません。

 

 

ヒトの運動を考える際には注意が必要です。

 

おすすめ書籍

 

    

 

    

 

 

参考文献

・馬場崇豪, 和田幸洋, & 伊藤章. (2000). 短距離走の筋活動様式. 体育学研究, 45(2), 186-200.

 




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