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慣性モーメントの分かりやすい説明

質量と慣性

物体が回転せずに移動する並進運動において、質量とは「物体の動かしにくさ(状態変化させにくさ)」であることを説明しました。

 

一方「慣性」とは、物体がその状態を維持し続けようとする性質のことを意味します。

 

重たいボールと軽いボールでは、重たいボールの方が動かしにくいです。

 

※慣性の法則

 

つまり、質量が大きいボールほど、その場に留まり続けようとする働き「慣性」も強いということが言えます。

 

関連記事

・「ニュートンの第1法則」慣性の法則(スポーツバイオメカニクス)

 


慣性モーメントとは?

回転運動にも、「物体の運動状態の変化させにくさ」つまり、「回しにくさ」というものがあります。

 

これが「慣性モーメント」です。これは並進運動における「質量」に当たるものです。

 

フィギュアスケートのスピンを考えてみましょう。

 

腕を抱え込んで回った時と、広げて回った時では、抱え込んで回った時の方が回りやすいです。

 

これは、腕を抱え込んだ姿勢の方が「慣性モーメント」が小さくなるからです。

 

 

慣性モーメントは、回転軸からどれくらいの位置にどれくらい質量を持つかによって決まります。

 

つまり、回転軸から遠いところに重たいものがあるほど、慣性モーメントは大きくなるわけです。

 

この慣性モーメントは、回転軸から、その周りの物体の質点までの距離の2乗と、その物体の質量をかけたものになります。

 

 

スプリンターの遊脚と慣性モーメント

慣性モーメントは、運動パフォーマンスを高める上で重要な要因になることがあります。

 

例えば全力疾走時の、遊脚の振り出し時です。

 

遊脚とは地面に接地していない側の、前方に振り出す脚のことを言います。

 

速く走るためには、蹴り出した脚を素早く前に運ぶことが重要です。しかし、ここで膝を伸ばした状態だと、股関節の中心からの質量が大きくなり、慣性モーメントが大きくなることで、回転運動を生じさせにくくなってしまいます。

 

 

そのため、この局面で膝が折りたたまれるようになることで、慣性モーメントが小さくなり、腿を素早く前に運ぶことができるわけです。

 

 

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