一貫性のない練習が最も成果に繋がらない

一貫性のない練習が最も成果に繋がらない




一貫性のない練習が最も成果に繋がらない

 

情報に振り回される人

 

ネットであらゆる情報を集めることができるようになっています。どの分野のどのような内容についても、ネットで検索すれば、何かしらの情報が出てくる時代です。

 

 

陸上競技についても同様で、トレーニング方法やトレーニング理論、レース動画やトレーニング動画…と、様々な形で情報収集ができます。

 

 

あらゆる情報に触れていると、必ずと言っていいほど、情報に振り回される人が出てきます。

 

 

情報に振り回されてしまう人には大きく2種類いて、それが「何が正しいのか分からなくなる系」「感化されやすく行動に一貫性がなくなる系」です。

 

 

 

「何が正しいのか分からなくなる系」の人

 

あらゆる情報に触れていれば、必ず「対立した情報」というのが現れます。

 

 

例えばトップアスリートのAさんは「Mというトレーニングが大事だ。」と主張しているのに対して、有名指導者のBさんは「Mというトレーニングなんか時間の無駄だ。」としつこく発信しています。

 

 

情報収集をしていると、このような状況に出くわすことは1度や2度ではないでしょう。

 

 

こういう場面に出くわし続けると、だんだんと自分は何を信じて練習したら良いのかが分からなくなってきます。

 

 

自信を持って練習に取り組むことができなければ、日々ずっと不安なままですし、アレをやってみたり、コレをやってみたりと、アレコレのお試し練習期間が延々と続き、気づいたら引退が近づいてしまう…というのはザラです。

 

 

 

「感化されやすく行動に一貫性がなくなる系」

 

トップアスリートのAさんが「Mというトレーニングが大事だ。」と言っています。

 

 

「そうか!Mというトレーニングが大事なんだ!やってみよう!」

 

 

やる気があって特に好奇心旺盛な選手であれば、こう思って行動に移すことがあるのではないでしょうか?

 

 

思ったことをすぐに行動に移せることはとても素晴らしいことです。行動しない人よりもよっぽど良いです。

 

 

しかし、Mというトレーニングを実践して少し経って、今度は別のトップアスリートBさんが「トレーニングFはいいぞ!すごく感覚が良くなる!」と、雑誌の記事で述べていたとします。

 

 

その記事に感化されたその人は、せっかく始めたトレーニングMをやめて、次はトレーニングFを始めてしまいます。

 

 

これでは、トレーニングMに本当に効果があったのかどうか分かりませんし、ましてはコロコロと自分のトレーニング内容、方針が短期間のうちに変わってしまっていては、何の成果も挙げられないまま時間だけが過ぎていってしまいます。

 

 

短期間でトレーニングの成果が出始めるものもあれば、成果が出るまで長期間を要するものもあります。

 

 

このように他人のいうことに感化されっぱなし、または何を信じていいか分からず路頭に迷ってしまいがちな選手は、練習に一貫性が無いパターンが多いと言えます。

 

 

練習に一貫性がない、内容がブレブレのまま日々を過ごしていても、競技成績はなかなか伸びてくれません。

 

 

 

変えないところ、変えるところ

 

練習方針、内容を決めるときは「変えないところ・変えるところ」を意識します。

 

 

記録が伸び悩んでいたり、さらに記録を伸ばしたい場合、何かを変えないと何かの変化は起きません。

 

 

ただここまで述べてきたように、何でもかんでも練習内容を短いスパンで変えまくることは問題です。

 

 

なので、「変えてはならないところは変えずに、変えるべきところは変える」ができれば良いわけです。

 

 

では、何を基準に変えないところ、変えるところを決めたら良いのでしょう?難しい問題ではありますが、以下の視点を参考に考えてみましょう。

 

 

 

変えないところ「既に誰かが検証し続け、客観性の高い結論が出ている知見、考え方」

 

「既に誰かが検証し続け、客観性の高い結論が出ている知見、考え方」を変えてはいけません。

 

 

なぜなら大切だからと分かりきっているからです。先人たちが検証に検証を重ねて積み上げてきた知見は信じましょう。先人たちの努力の結晶を舐めてはいけません。

 

 

これを疑いにかかって自分で検証しようとしても間違いなく遠回りをします。

 

 

では、「既に誰かが検証し続け、客観性の高い結論が出ている知見、考え方」って一体どういうものを言うのでしょうか?

 

 

それは、トレーニングの教科書に載っているような基本原理、原則に近いもの、エビデンス(科学的根拠)がしっかりしている、まぁ多くの人にとって間違いはないであろう知見です。

 

 

例えば以下のようなものが挙げられます。

 

 

例①トレーニングの原理原則

トレーニングの原理・原則だけは何が何でも守るようにしましょう。この考え方がブレてしまうと、どんなにアレコレトレーニング内容を変更したとしても、成果に繋がりません。ざっくり説明しておきます。

 

 

トレーニングの原理
・過負荷の原理…やや高い負荷を与えないと成長しない。
・可逆性の原理…やめると元に戻る。
・特異性の原理…トレーニング刺激を与えてない能力は向上しない。

 

 

トレーニングの原則
・漸進性の原則・・・負荷は徐々に上げていくと良い。
・全面性の原則・・・競技力向上に関する能力は全面的に向上させると良い。
・個別性の原則・・・適応には個人差があるので考慮する。
・反復性の原則・・・継続が大事。
・意識性の原則・・・部位や目的を意識してやるといい。

 

 

例えば、バランスディスクの上でスクワットをやれば、脚の安定性が高まる…という話を聞いて、それまで実施していた通常のバーベルスクワットから、バランスディスクでのスクワットをやるようになった選手がいたとします。

 

 

数週間経って、その選手のバランスディスク上でのスクワットは上手くなってくるはずです。

 

 

しかし、肝心の競技のパフォーマンスはあまり伸びず、むしろ低下していってしまいました。

 

 

これは、以前まで行っていたバーベルという負荷を用いたスクワットをやめてしまったことが原因です。

 

 

バランスディスク上でのスクワットでは、これまで扱っていたバーベル以上の負荷をかけることができません。

 

 

これまでかけていた負荷を逆に減らしてしまえば、それによって維持されていた筋量・筋力が低下してしまうのは当たり前です。

 

 

これは、トレーニングの原理原則である、過負荷の原理や漸進性負荷の原則で説明できる、ごく当たり前の現象です。

 

 

このようなケースは「なぜスクワットをやるのか」という、トレーニングの目的が明確でなかった場合や、トレーニングに関する基礎知識が無い場合に起きやすい問題だと言えます。

 

 

 

例②筋量アップのためにタンパク質を多く摂る

筋量増加を図るためには、タンパク質の摂取を増やすことが重要です。

 

 

これまでに、筋量を増やすためにはどれくらいのタンパク質を摂取したら良いのかについて、多くの研究がなされており、タンパク質が不足すると、筋肉の成長を十分に促すことができないことは明白だと言えます。

 

 

最近では、Mortonほか(2018)の研究で、1日のタンパク質摂取量が、体重1kgあたり1.6g以上の場合と、1.0g以下の場合では、筋肉量の増加度合いに、3倍もの差が出ると推測されています。

 

 

このように、トレーニングをするにあたって超基本とも言える知見、これに基づく行動というのは変えるべきでは無いと言えるでしょう。

 

 

タンパク質の摂取量だけに限らず、他にも色々な知見が蓄積されています。それら「トレーニングの基本的な知識・考え方からブレないこと」、これは最低限意識して、トレーニングを考えるようにしましょう。

 

 

 

変えるところ

 

では、トレーニングを行う上で「変えるところ(変えても良いところ)」とは、どこなのでしょうか?

 

 

目的が明確で無い練習

「なんでこの練習やっているんだろう?」という練習には要注意です。

 

 

ただ周りがやってるから、今までやってきたから…という理由だけで、目的意識がハッキリしていない練習は変えて良いものかもしれません。

 

 

ただ、何となくやっていたとしても、それが自分の競技力に大きく貢献していた…という可能性も大いに考えられます。

 

 

チームで練習、コーチの下で練習している場合には、その練習の意図をコーチやチームの幹部に確認したり、自分にとってその練習はどういう効果を生んでいるかについてキチンと考えましょう。

 

 

 

既存の客観性の高い知見に対して矛盾している練習

筋力を高めるために、スクワットの負荷を下げよう…という考えは誰がどう見ても矛盾しています。

 

 

自分の練習に、このような矛盾が隠れていないか適宜チェックを入れる癖はつけておきましょう。

 

 

とは言っても、既存の知見に矛盾する内容を見つけると言っても、その既存の知見に詳しくないと、見つけようがありません。

 

 

特にコーチがいない、詳しい人がいない場合は自分で勉強するしかありません。

 

 

基本的な内容だけでも良いので、トレーニングに関する正しい知識を日々学び続ける、そういう習慣はつけておくべきです。

 

 

 

まとめ

 

信頼できる指導者がいる場合は、まずその指導者にトレーニングの意図を確認しましょう。

 

 

その上で納得のいかない点は、納得のいくまで相談をすべきです。トレーニングは、自信を持って取り組める内容が一番だからです。

 

 

指導者等がいない場合は、まずはトレーニングに関する知識を仕入れることから始めましょう。仕入れるにしても、客観性の高い情報、基本的なものから勉強をすることを心がけましょう。

 

 

学んでいく中で、自分のトレーニングと矛盾する内容があれば、そこは適宜修正していきます。

 

 

そういう習慣をつけることで、「変えるべきところと、変えるべきでないところ」の判断基準がだんだん明確になっていきます。

 

 

 

参考文献

・Morton, R. W., Murphy, K. T., McKellar, S. R., Schoenfeld, B. J., Henselmans, M., Helms, E., ... & Phillips, S. M. (2018). A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. Br J Sports Med, 52(6), 376-384.



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