目的を設定するときに注意すべきことは、「あれやこれやと目的を詰め込まない」ことです。この時期は「種目の技術を高めながら筋力を高めながら持久力も…」と計画してしまうと、途端にトレーニングが難しくなってしまいます。できれば主目的を1つに絞ってトレーニングするのが良いでしょう。
また、主目的を絞ることは、「トレーニングの干渉作用」を防ぐためにも重要です。トレーニングの干渉作用とは、あるトレーニングが、その他のトレーニング効果を阻害してしまうことを言います。
例えば、筋肥大や筋力向上をさせたいとき、同時に多量の持久トレーニングを行っていると、筋肥大や筋力向上度合いが低くなりやすいことが知られています。これは、多量の持久トレーニングを並行することで回復が追い付かなくなったり、消費エネルギーが増え、筋肉をつけるために必要なエネルギーが不足したり、持久トレーニングによって、筋肉の合成を促すスイッチ(mTOR)を抑制してしまうことなどが原因です。
このことから、筋肥大と持久力向上を同時期に主目的に設定するのはあまり効率的ではないことが分かります。
これと同様に、組み合わせが良くないトレーニングの目的と言うものはいくつか存在します。上で挙げた「筋肥大・筋力系+持久系」も然りですが、「筋肥大+筋力向上」も組み合わせが良いとは言えません。筋肥大には比較的多量のトレーニングが必要になりますが、筋力を最大限に高めるには、多量のトレーニングをしていては疲労も溜まりやすく、筋力の素早い立ち上げ能力も一時的に低下してしまうからです。
このようなことを防ぐためにも、できる限りトレーニングの主目的は1つに絞って、干渉作用を小さくする工夫が必要です。この方が、トレーニングもシンプルに進めていきやすいのではないでしょうか。