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筋肉と脂肪のつき方における男女差(女性の方が筋肉が付きにくくて太りやすい?)

 

女性アスリートのトレーニングを考える上で、男性と女性の身体の違いについて知らないわけにはいきません。

 

 

男性と女性では、同じヒトであっても生物学的に異なる生き物です(差別だとかそういうことではなく)。したがって、スポーツのトレーニングにおいても、留意すべき事項が出てくるのは必然的です。

 

 

ここでは男性と女性で、筋肉や脂肪のつき方にどのような違いがあるかを基にして、トレーニングでどのような点に注意していくべきかについて紹介します。

 

 

 

女性は男性よりも筋肉量が少ない

 

女性は男性よりも筋肉量が少ないと言われています。成人における女性の筋肉量は、下半身だと男性の7割程度、上半身では約半分しかないと言われています(須永,2018)。以下の図は、男子学生と女子学生で、身体各部位の筋肉の厚さを測定した結果です(安部と福永,1995)。特に上半身の筋厚に差が出ていることが分かります。

 

 

 

 

男女でこのような差が出る理由として挙げられるのが「ホルモンの差」です。男性では、筋肉増加に関わるテストステロンという男性ホルモンの分泌が多いことが、筋肉量の差の一つの要因だと考えられています。

 

 

このようなことから、女性は男性と比較して筋肉量が少なく、筋肉をつけることが難しそうだということが分かります。

 

 

しかし、これは決して「女性は筋力トレーニングをしても筋肉がつかない、筋力が上がらない」と言っているわけではありません。あくまで、男性と比較するとその向上度合いは小さいかもしれないということです。トレーニングすればきちんと向上します。

 

 

 

女性は男性よりも体脂肪が多い
一方で、体脂肪率に関しては女性の方が男性より多く、なかなか落とすことが難しいと言われています。以下は、男子学生と女子学生の皮下脂肪の厚さを比較したものです。筋肉量とは対照的に、男性よりも数値が高くなっています。特に、腹部や二の腕、下半身の差は顕著です。

 

 

 

 

このように、女性ではそもそも体脂肪が付きやすく、男性と比較してもその量(割合)が多いことが分かります。そのため、頑張って減量しようと思っても、男性と同じようにはいきません。また、減量が上手くいきづらいことや、体重増加に対する恐怖心が強いことから、不適切な減量方法に走りやすいという特徴もみられます。

 

 

 

 

女性が減量するときに気を付けるべきこと

 

以上のように、女性は男性と比較して筋肉が付きづらく、脂肪が付きやすいです。そんな女性アスリートが、トレーニングや減量を考える際に気を付けるべきことについて紹介しておきます。

 

 

体脂肪率12%を絶対に切らないこと

 

女性が健康な生理機能を維持するために必要な最低限の脂肪量を「必須脂肪」と言います。女性ではこれが12%です。したがって、体脂肪率12%を切ってしまうようなことになってしまえば、身体に様々な異常をきたしてしまうことにつながりかねません。

 

 

有名な問題に「女性アスリートの三主徴」が挙げられます。過度な食事制限とハードなトレーニングにより、基礎代謝に回せるエネルギーが大きく不足すると、無月経骨密度の低下を引き起こします。そしてそれらは、疲労骨折などの怪我や将来の妊孕性(妊娠のしやすさ)にも影響します。また、トレーニング効果も上手く上がりません。パフォーマンスを高めるために減量をしているのに、これではそもそもの健康状態が狂ってしまっているので、それどころではない状態です。長期的なパフォーマンス向上は望めません。

 

 

絞れば絞るほど良いという考え方は、捨てましょう。

 

 

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「何を食べないかよりも、何を食べるか?」を意識する

 

女性は男性と比較して「体重が増えることへの恐怖心」「とにかく痩せなきゃとの義務感」が強くなりがちです。そのため、食事を抜いたりと、極端な食事制限に走りやすい傾向があると言えます。

 

 

しかし、「食べない減量」が引き起こす悪影響は非常に大きいと考えられます。気持ちが切れてドカ食いに走ってしまったり、食べ物を食べることに以上に恐怖心、罪悪感を抱いてしまったり・・・と、過食症や拒食症と呼ばれる摂食障害に発展してしまうケースはザラにあるからです。

 

 

また、減量時は食事量が減っていて、身体に必要な微量栄養素が不足しやすいのに、食事を抜くまでしてしまえば、それはただの栄養失調です。女性は特に、貧血になりやすいことや、疲労骨折のリスクが高いことから、ビタミン・ミネラル、タンパク質など、身体の組織作りに関わる栄養素を十分に摂取する必要があります。これは、減量時ほど重要です。

 

 

したがって、女性が減量を試みるときは特に「栄養素を摂る」ことを心がけるべきだと言えます。

 

 

「食べないようにしなきゃ」「食べるのは罪」との考えは捨てて、減量中は特に「何を食べるべきか?」に目を向けて欲しいと思います(具体的な栄養素については以下の記事を参考に)。

 

 

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女性は男性の縮小版ではありません。男性と女性では、トレーニングによる適応の仕方も、減量の難しさやリスクも大きく異なってきます。

 

 

これらのことを理解せずに、指導者がトレーニング現場で「何で痩せないんだ!」「ちゃんとトレーニングしているのか!」などという理不尽をまき散らしているようでは、完全に指導者失格です。

 

 

これらのような男性と女性の身体の違いをよく理解して、現状をより良くするための手段や方法について、考えられるようにしていきましょう。

 

 

参考文献

・須永美歌子. 女性アスリート 教科書. 主婦 友社: 矢﨑謙三, 21.
・安部孝, & 福永哲夫. (1995). 日本人の体脂肪と筋肉分布. 杏 林 書 院, 東 京, 94-108.




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