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モチベーションの高め方における男女差(女性のやる気)

 

 

スポーツのトレーニングを考える際には、筋肉や体脂肪の付き方などの身体的な男女差を考慮することがとても重要です。女性と男性は同じヒトでも、違う生き物であるため、当然、男性と同じようにトレーニングや食事をしても、女性では異なる身体の変化が得られるからです。

 

 

一方で、その男女差というのは身体的なものだけにとどまりません。心理的な面にも男女の差が存在しています。心理的な傾向の違いは、特にトレーニングへのモチベーションの維持や向上の方法に大きく関わるため、ここについて理解しておくことは、指導者のみならず、選手やその親にとっても重要なことです。

 

 

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そこでここでは、その「モチベーション・やる気」に関わる、心理的な男女差と、それを踏まえたトレーニング現場での注意点について紹介していきます。

 

 

 

 

男性は「試合での結果」、女性は「一緒に頑張ること」に、よりやる気を見出す

 

以下の図は、男性と女性がスポーツ活動に対して、「どんな時にやる気が出るか?」を調査した結果です。男性と女性では、項目によって差があることが分かります。

 

 

 

 

 

男性では試合で勝った時のやる気の引き出され方が大きい、つまり、男性はより結果を重んじて、それをモチベーションにしている傾向があります。

 

 

一方、女性では仲間や両親、指導者から励まされたり、認められたりしたときのやる気の引き出され方が大きくなっています。これは、女性が集団や人間関係というものをより重視し、そこでの受容感がモチベーションの向上につながりやすいというわけです(男性でも「試合での結果」よりもやる気スコアは高くなっています。男性では周囲の人間のサポートによって、やる気が引き出されないんだ!というわけではないので注意。)

 

 

女性では「共感すること、共感してくれること」に、より価値を見出す傾向があります。試合で結果を出すことももちろん重要ですが、それと同等か、それ以上に「仲間と頑張ること」「努力感を共有すること・認め、認められること」を重視します。

 

 

一概にすべての男女でこのような差がはっきり出る…とは言い難いですが、「やる気のもと」になっている要因は、男女でやや異なる場合があるということは、知っておいた方が良いでしょう。「自分はこういう時にやる気が出るから」という価値観が、男女で大きく異なることがある…ということを踏まえて、チームでの振舞い方、選手への接し方について考えてみましょう。

 

 

 

 

女性アスリートにおけるコーチング時のポイント

指導者を交えたコミュニケーションの場を多く設定する

 

女性は男性と比較して、人間関係を重視する傾向があることから、指導者を交えたコミュニケーションの場を多く徹底することが重要だと考えられます。感じていることを日々なかなか言い出せなかったり、相手が、周りが、そして指導者が自分のことをどう思っているのかを非常に気にしてしまうものです。

 

 

そういう中で、意思疎通の場を多く設けることは、自分を理解してもらう、そして他者を理解することにつながるはずです。それは女性選手にとって大事な、モチベーションの源です。

 

 

その話し合いの中で、たまに衝突が起きてしまうこともあるかもしれません。そういう時は、指導者が両者の話をよく聞き、互いの思いを整理する、そしてこれからどうするかを考えるファシリテーターになってあげましょう。

 

 

また、指導者の前では言い出しづらい議題も必ずあるはずなので、時には指導者抜きで、コミュニケーションを取る場を設定することも必要です。

 

 

 

集団で練習する場を多く設ける

 

これは女性に限った話ではないですが、できる限り集団で、チームで練習する機会は多い方が良いと考えられます。みんなで頑張る、辛さを分かってもらえる、共感者がたくさんいる環境の方が、やる気が維持、向上していきやすいからです。この傾向は、人間関係や他者からの受容感を重視する女性の方がやや強いでしょう。

 

 

そのため、より忍耐力が必要になる体力トレーニング等では、できる限り集団で取り組めるような工夫があると、より頑張れる、次も頑張ろうと思える、長期のトレーニングの効果が得られやすい…などのメリットにつながるはずです。

 

 

もちろん、個人に応じた技術練習を実施する場合は、個人で黙々と練習する方が成果が挙がることはあるはずです。しかし、そういう場合にも、同じような課題を持つ選手同士で練習させたり、高いレベルの人とチームを組ませて練習させたりする工夫ができます。

 

 

「信頼している」という気持ちを選手にちゃんと伝える

 

女性にとって、「指導者に自分がどう思われているか」はとても重要な問題です。自分はちゃんと応援されているか、信頼されているのか、自分のことを見てくれているのか…これらのことを特に気にしがちです。

 

 

これらが保証されているという、確信だとか、安心感のようなものが、スポーツ活動に対する「やる気」につながりやすいのが女性です(そうでもないタイプの人ももちろんいます)。

 

 

そして重要なのは、指導者が「その選手のことはちゃんと信頼して、応援している」ことを、きちんと形にして伝えることです。思っているだけでは意味がありません。選手側は、そう思われているという確信、安心感を強く望んでいます。これは、指導者側が思っている以上に強い感情であることもしばしばあるはずです。

 

 

日々の練習の中で、個別に励ましの言葉を投げかけるようにしたり、練習日誌を集めるなどして、指導者側がコメントをきっちり残すようにしたりする工夫も有効でしょう。とにかく、思っていること、特にポジティブな思いは積極的に伝えていくことが重要です。

 

 

指導者が一緒になって、練習に取り組む

 

先述した、集団で練習するメリットと似通っている部分もありますが、女性にとって「指導者が一緒にトレーニングに取り組んでくれる」ことは、大幅なやる気の向上につながる可能性があります。「指導者も頑張っているから」という状況が、モチベーションに発展しやすいからです。

 

 

逆に「自分だけが頑張っている」という状況は、選手の不満を引き出してしまうかもしれません。特に非常につらい練習の時、その辛さを共有したいと思うのが人間です。だからこそ、「一緒に頑張っている状況」は、想像以上に選手の不満解消やモチベーションを保つことにつながります。

 

 

これは練習時だけに限らず、練習の準備や片づけなど、日々の些細な場面においても同様です。指導者は支持を出すだけ、動くの選手…ではなくて、指導者自ら一緒になって行動することが、チーム全体のモチベーション向上につながるはずです。

 

 

 

参考文献

・杉原(1992):「やる気になったときとやる気をなくしたときの競技動機の分析」『平成 3年度日本オリンピック 委員会スポーツ医 ・科学研究報告 (スポーツタレン トの発掘方法に関する研究)J No. VI.
・八ッ橋(2015)女子選手のコーチング.体育とスポーツ出版社.
・須永美歌子(2018). 女性アスリート 教科書. 主婦 友社: 矢﨑謙三, 21.




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