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つま先接地?フォアフット接地を習得する方法

つま先接地?フォアフット接地を習得する方法




フォアフット接地とは?

 

フォアフット走法という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

 

このフォアフット走法とは、足が地面に接地する時、かかとからではなく、足裏の前部分から接地して走る方法のことを指します。

 

 

 

関連動画

 

 

 

ほとんどの短距離選手は、足裏の前部分で接地する「フォアフット接地」で走っています。

 

 

対して、長距離ランナーの8割ほどは、かかとから接地する「リアフット接地」で走っていると言われています。

 

 

しかし、長距離ランナーでもトップ選手になればなるほど、スピードレベルが高くなればなるほど、「フォアフット接地」が増えていくようです。

 

 

したがって、高いスピードで走るためには、フォアフット接地で走る方が良い可能性が高いと予想できるでしょう。

 

 

そこで、ここではこのフォアフット接地のメリットや、その習得のための視点について紹介していきます。

 

 

 

 

フォアフットとリアフットの違い

 

そもそも「フォアフット接地」が速く走れると言われるのはなぜなのでしょうか?

 

 

その理由を探るために、まずはフォアフット接地とリアフット接地の、地面反力の違いを見てみましょう。

 

 

※Liebermanほか(2010)より作成

 

 

 

このように、リアフット接地では反力の山が2つできています。対してフォアフット接地では反力の山が1つだけです。

 

 

実は、リアフット接地に見られる第1の山は、かかとから接地した時の衝撃を表しているのです。

 

 

 

リアフットのデメリット

 

リアフット接地で、かかとからグッと踏み込むような接地になると、接地の瞬間の衝撃が大きくなります。

 

 

それに伴い接地時間が間延びしてしまい、1歩に時間がかかってしまったり、走りの上下動が大きくなりやすくなってしまうことが予想できます。

 

 

加えて、接地の衝撃を膝で吸収するような動作が生まれ、膝に負担をかけてしまうことにもつながります。

 

 

また、膝でブレーキをかけるような動作になるため、前ももの筋肉が発達、太くなりやすいような走りだとも言えます。

 

 

中長距離ランナーでレベルの高い選手ほど、前ももの筋肉に対してもも裏の筋肉が発達している傾向がある(吉岡ほか,2009)ことからも、このような動作を強調するのは正しくないと言えそうです。

 

 

 

フォアフットのメリット

 

一方、フォアフット接地は足裏の前部分で接地します。

 

 

ここでふくらはぎの筋肉をキュッと硬めておくと、アキレス腱が引き伸ばされることになります。

 

 

この時、アキレス腱にバネのようなエネルギーが蓄えられ、地面を蹴りだす時にパチンコのように元に戻り、大きな力を発揮することができるのです。

 

 

 

 

 

 

アキレス腱は素早く強く引き伸ばされると、勢いよく縮む性質があり、しかもエネルギーをあまり消費しません。

 

 

なので、このようにアキレス腱を使えることは、速く走り、かつエネルギー効率もよくするために重要だと言えるでしょう。

 

 

そしてアキレス腱の反射を上手く使った走りをするためには、フォアフット接地が有効な手段になり得ると考えられます。

 

 

 

 

フォアフット走法習得のために

 

では、フォアフット接地とはどのようにすれば習得できるのでしょうか?

 

 

その方法の例をいくつか挙げてみます。

 

 

薄いソールのシューズを履く

 

かかとのクッション、ソールの厚いシューズを履くよりも、薄いソール、または裸足で走る方がフォアフット接地が促されることが分かっています(Thompsonほか,2015)。

 

 

これはかかとのクッションが少なく、それに頼って接地しようとしなくなることや、かかとの分厚いクッションが先に地面に近づかなくなるためです。

 

 

裸足でジョギングしてみたり、薄いシューズでかかとからグッと踏み込むような接地をしないように意識してみましょう。

 

 

 

アキレス腱を使えるようなトレーニングを積む

 

先述の通り、フォアフット接地ではアキレス腱の反射を使うことで効率よく走ることができます。

 

 

しかし、アキレス腱の反射を使うためにはふくらはぎを一瞬でキュッと硬くできる筋力が必要です。

 

 

この筋力がないまま無理にフォアフット接地をしようとすると、ふくらはぎやアキレス腱周りの怪我に繋がってしまいます。

 

 

したがって、ふくらはぎやアキレス腱周りをしっかりと鍛えておきながら、徐々にフォアフット接地に慣れていくことが重要です。

 

 

以下はその鍛え方の例です。

 

 

 

アンクルホップ・縄跳び

できるだけ膝の曲げ伸ばしを使わないように、足指の付け根あたりで地面を捉えて、短く、高くジャンプすることを意識します。

 

 

参考動画

 

 

参考動画

 

 

 

スプリントドリル

足指の付け根あたりで体重を支えながら、ステップをつけてのもも上げや、ももの振り出し動作を行います。短距離選手が行っているイメージが強いですが、中長距離選手も非常に大切なドリルです。アキレス腱の反射を使いながら身体を浮かせる筋力や、ももを挙げたり、下ろしたりする筋力、柔軟性の向上も期待できます。

 

 

参考動画

 

 

 

坂道走

坂道では平地と違い、足裏の前部分から接地がしやすくなります。また、アキレス腱も引き伸ばされやすく、筋腱の働きを促すのにうってつけの環境だと言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

足指を機能させる

接地で足首を固定させ、アキレス腱を使ったバネの推進力をより生かすためには、足指を機能させる筋力も重要です。足指をしっかり動かせる、親指から小指までグッと力を入れられるくらいの筋力は欲しいものです。

 

 

参考動画(タオルギャザー)

 

 

 

参考動画(足指フロッグ)

 

 

 

 

まとめ

・フォアフット接地では、アキレス腱のバネを上手く使って走ることができるため、速く走るためには効率の良い技術だと言える。

・習得のためにはふくらはぎを一瞬で硬くできる筋力が必要。


・ソールの薄いシューズや裸足で走ったり、足首をバネのように使ったジャンプ、坂道走などで、フォアフットに必要な筋腱のトレーニングが可能。


・いきなりフォアフットを意識することによる怪我には十分注意しなければならない。

 

 

 

 

参考文献

・Lieberman, D. E., Venkadesan, M., Werbel, W. A., Daoud, A. I., D’andrea, S., Davis, I. S., ... & Pitsiladis, Y. (2010). Foot strike patterns and collision forces in habitually barefoot versus shod runners. Nature, 463(7280), 531.
・吉岡利貢, 中垣浩平, 向井直樹, & 鍋倉賢治. (2009). 筋の形態的特徴が長距離走パフォーマンスに及ぼす影響. 体育学研究, 54(1), 89-98.
・Thompson, M. A., Lee, S. S., Seegmiller, J., & McGowan, C. P. (2015). Kinematic and kinetic comparison of barefoot and shod running in mid/forefoot and rearfoot strike runners. Gait & Posture, 41(4), 957-959.

 

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