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第1回「なぜ、トレーニングについて学ぶ必要があるのか?」

なぜ、トレーニングに関する知識を得る必要があるのか?

こんな言葉があります。

 

愚者は経験のみに学び、賢者は歴史に学ぶ

 

どんなチャレンジをするにしても「効果がありそう or 無さそう」が、既に分かっている知見があるんであれば、それを活用して無駄な失敗は極力減らすことは大切です。

 

「無駄な失敗はない。失敗してなんぼじゃないのか??」という声も聞こえてきそうですが、やはり選手が選手でいられる時間は限られています。遠回りをし続けて、気づいたら引退の季節に・・・となるのは、やっぱり嫌だなぁと感じる人は多いでしょうし、失敗するにしても、「懸命に試行錯誤した結果の失敗」を多く積み重ねなければ、問題を解決する能力はなかなか磨けるものではありません。

 

なので、自身の経験のみでなく、他者の経験、先人の知見をフル活用するのは、トレーニングを効率的に進めていく上で、とても有効な手段だと言えるでしょう。

 

また、「ヒトは思い込みが激しい生き物」です。情報を的確に吟味できる能力が無ければ、例えば以下のような思い込みに振り回されてしまうことがあります。

 

・記録が伸びていた時期の練習内容は「効果が高い」と思い込む.

・トップ選手が紹介するトレーニングは「効果が高い」と思い込む.
・海外のトレーニングは「最先端だ」と思い込む.
・強いチームの練習は「量より質だ」と思い込む.
・身近なトップ選手が「筋肉はいらない」と言えば「筋肉はいらない」と思い込む.
・身近なトップ選手が「筋肉こそ正義」と言えば「筋肉が全て」と思い込む.

 

このような情報に振り回された結果、何が正しいのかが分からなくなってしまったり、はたまた新しい話を聞くたびに感化されて、すぐに行動を変えてしまうなどで、トレーニングの一貫性が保てなくなってしまうケースは多いはずです。

 

 

氾濫する情報に振り回されないように、「これは正しい情報なのか?今の自分に必要な内容か?」などと、情報を吟味して活用できるようになるためには、知識はあって損はないでしょう。知識無くして良質な思考は生まれないからです。

トレーニングに関する情報の客観性に気を付けよう

いくら知識が大事だ・・・と言えども、世の中にはいろいろな情報が氾濫しています。その中から自身にとって本当に有用な情報を取り出すには、それなりの技術が必要になります。その技術の一つが「情報の客観性に注意する」です。

 

客観性とは、端的に言うと、「物事の関係性や考え方に対して、誰かの思い込みがどれほど取り除かれているか」を表すものです。例えば、以下の図のようなコメントは客観性がとても低いと言えます。そのコメントの根拠が非常に乏しいからです。

 

 

このような架空の人が言ったコメントであれば「そりゃ本当か???」と誰でも疑うことができそうですが、実際の生活においてその情報の客観性の高さを吟味するのはとても難しいと言えます。なぜなら、ヒトは「何を言ったか?ではなく、誰がどういう風に言ったか?」で物事を判断してしまうからです。

 

自分の知らない人がいくら的確なアドバイスをしてくれたとしても、その人の競技力が自分よりも圧倒的に低かったとしたらどのように感じるでしょう?おそらく一定数は「なんか良いこと言ってそうだけれど、信用していいのかな…?」と不安感、不信感を抱いてしまうはずです。

 

一方で、一流選手や著名人が放った自信満々なアドバイスに対しては、そのアドバイスの意味をよく理解していなくとも「なるほど!」と、納得してしまう、傍から見ても異様な説得感がまとわりついてしまうことが多いです。

 

これは、ヒトが物事を判断する基準を「何を言っているか?」という内容についてではなく、「誰が言っているか?」「どんな風に言っているか?」に設定しているからです。そのため、競技力の高い人や、自信ありげに物事を話す人の発信する内容は、大きな影響力を持ちやすいと考えられます。

 

 

しかし、それでは「問題が解決しそうな気分」「パフォーマンスが上がりそうな気分」になれたとしても、問題解決の本質には迫ることができません。本当に自分にとって意味のある行動をとるためには、本当に自分にとって意味のある情報を得なければなりません。

 

したがって、情報の内容を吟味することはもちろんのこと、客観性に注意した情報収集を心がける必要が出てきます。そこで、情報収集の際に気を付けるべきポイントを2つだけ紹介しておきます。

 

 

経験談に注意

それは経験談なのか?多くの人に当てはまる普遍的な情報なのか?に着目して情報を得る、議論をすることは大切です。「私はこれで上手くいった。だからあなたもこれで上手くいくはず。」…のような理屈は、一見正しそうにも思えてしまいます。しかし、その方法はその人だけにしか当てはまらないかもしれないし、他の人には逆に害を与えてしまうやり方かもしれない可能性は拭えません。

 

他人の経験談は非常に役に立つことはあるはずですが、その場合は「何でそれがその人にとって上手くいったのか?」を、その人のトレーニングや体格、環境などの背景(個別性)を基に考えることが重要です。それができれば、他の人にも転用可能な考え方が見いだせるケースもあるでしょう。

 

しかし、それができない経験談は、あくまで経験談として捉えておくべきでしょう。

 

 

認識の差に注意

話の内容を正確に相手に伝えることはとても難しいです。例えば何気ない会話では、以下のようなことが良く起こっています。

 

 

このように、実際の話の意図は、完璧に相手に伝わりません。知識や考え方の正確な共有は思ったより難しいわけです。この記事を読んでくれてらっしゃる皆さんと、この記事を書いている管理人の認識には必ずズレが生じます(ズレが大きくならないような努力はしているつもりです…)。これは、人それぞれの読解力の差があったり、不足した情報部分を無意識のうちに自分の経験で補完してしまっていたりするからだと考えられます。

 

ヒトは物事を自分の都合の良いように解釈して、正当化するプロです。なので、本当に自分の問題を解決するための情報を得るためには、「認識の差」に注意して、自身に対して批判的に、そして詳しく聞く、話す、読み込むことが重要です。

トレーニングについて学ぶ必要性

このように、思い込みが激しく、誰がどう言っているかで物事を判断し、自分の経験を正当化して都合の良いよう解釈しようとしてしまうのがヒトです。ですが、このままの状態で、自分や他人のパフォーマンスを高めるために、本当に役立つ情報を吟味することは難しいということは明白です。

 

「どういう理屈で何を主張しているのか?その論拠はどこにあるのか?」といった内容に着目して、物事を判断する癖はつけておくべきでしょう。これは、スポーツに限らず、仕事や日常生活、人間関係など、すべての問題を解決するためにも重要なことです。

 

そして、ここから紹介していく内容は、「走る・跳ぶ・投げるパフォーマンスを高めるため」に、同じ「ヒト」であればおおよそ当てはまるであろう,普遍的な知見を基にしたもの(基本的な運動生理学やバイオメカニクス)です。

 

非常に情報量が多いですが、まとめて熟読することをお勧めします。断片的な知識だけではあまり役に立たない、むしろ、トレーニングに一貫性がなくなり、害を与え得るからです。もちろん、ここで紹介している内容も鵜呑みにせず、批判的に考えて頂ければと思います。

 

自他のトレーニングに、ぜひ、お役立てください。

 

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~追記~
ここまで、自分で物事を考えて情報を収集して、トレーニングを考える重要性について述べてきましたが、必ずしもすべての選手がそのようなスタイルでいるべきだとは言えません。あくまで「自分(たち)で一からトレーニングについて考えざるを得ない人」に向けての発信です。

 

中には、「自分で考えてトレーニングをするのが苦手。」「絶対的に信頼できる指導者の下、自信を持ってトレーニングに打ち込みたい。」「変に考えず、行動に100%を注いだ方がパフォーマンスは高まる」・・・といった選手は必ず存在しています。

 

決して、自分で全て考えずに言われたトレーニングだけに打ち込むのは悪いことだと言っているわけではありません。自分のタイプを見極めて、次の行動を決めていきましょう。

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