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高強度インターバルトレーニングは前半突っ込んだ方がお得?

高強度インターバルトレーニング(HIIT:High Intensity Interval Training)

持久系アスリートがパフォーマンスを向上させるために、高強度インターバルトレーニング(High Intensity Interval Training:HIIT)は有効な手段です。

 

このインターバルトレーニングでは、呼吸循環器系(呼吸に関わる筋、心筋の適応)、末梢骨格筋(ミトコンドリアや毛細血管など)に大きな負荷をかけ、その適応促すことが目的です。

 

そのために、HIITセッション中の酸素摂取量を高く保つことは重要であると考えられます。

 

 

参考動画

酸素摂取量はどのようにして高まる?

 

高い強度での運動を始めた直後、序盤は主に体内のATPやクレアチンリン酸を分解することで、素早くエネルギーを供給します。素早くエネルギーを生み出せる機構なので、より大きなパワーを発揮するときには、これらのエネルギーが多く使われます。

 

 

 

 

そのまま運動を継続するとすぐに、主に筋グリコーゲンを分解してエネルギーを生み出す、解糖系や、生み出された乳酸やピルビン酸(その他脂質も)を、酸素を使ってエネルギーを生み出す、有酸素系のエネルギー供給機構が強く働きます。有酸素性のエネルギー供給機構は、酸素を必要とするので、これが強く働くと呼吸が乱れてきます。そして、これらの引き金となるのは、ATPやクレアチンリン酸などを分解して蓄積される、ADPやリン酸です。

 

つまり、ガガガっと大きなパワーを出す運動をすると、すぐに呼吸が乱れてくるわけです。当然ですね。

 

なので、HIITで序盤から高い酸素摂取量を獲得して、呼吸循環器、末梢骨格筋に高い負荷をかけたいなら、序盤からある程度ハイペースで突っ込むような形の方が、効率的なんじゃない?という仮説が立てられます。

HIITの序盤をハイペースにした研究

Rønnestad et al.(2020)の研究では、5分×5set(3分リカバリー)のインターバルトレーニングにおいて、各セット内の序盤にペースを速め、その後ペースを落としたグループと、終始一定のペースのグループとで、酸素摂取量や主観的な運動強度について比較しています。

 

 

その結果、全体の平均ペースは同等であるにも関わらず、序盤にペースを速めたグループの方が最高酸素摂取量、平均の酸素摂取量が高まり、かつ主観的な運動強度が低くなっています。

 

 

 

図から分かる通り、序盤からペースを速めたグループは、酸素摂取量の上昇度合いが高く、中盤まで、高い酸素摂取量が保たれています。また、個人的には序盤から大きな力を出した方がキツそうなイメージがあるのに、この研究では逆の結果になっているのは意外でした。

 

 

また、この研究では、セッション内の酸素摂取量や主観的な運動強度しか見ていないので、実際の「トレーニング効果」については不明です。

 

 

ただ、トータルの酸素摂取量が高く保たれて、かつ主観的にはやや楽になる…のであれば、トレーニングとしては理想的ですね。

 

 

紹介した研究では、各セット内(5分間の中で)でのペースをコントロールしています。ですが、もしかすると5セットやるうちの前半2セットのペースを高め、後半3セットのペースをやや落とす…ような形でも、同様の効果が望めるかもしれません。

 

 

とは言え、やみくもに序盤からペースを速めて、疲労でセット後半、セッション後半のペースがガタ落ちし、トータルの運動強度が落ちてしまえば、トレーニング効果も期待できなくなってしまうかもしれません。あくまで、「セッション内のトータルの運動強度はある程度保てる範囲でこなせるペース配分」でやる必要はあるんじゃないかと思います。

 

 

関連記事

・陸上中長距離選手のためのスプリントインターバルトレーニング

 

・高強度持久系アスリートのトレーニングは、スピードが大事?量が大事?(中長距離の練習比率)

 

雑談(じゃあ序盤からローペースって良くないの?)

「じゃあ、序盤からローペースで始めるトレーニング(例えばビルドアップなど)は、効率的とは言えないの?」との疑問が湧いてきそうです。

 

 

確かに序盤は非常に楽なペースでやれる状態なので、その間はそれぞれのエネルギー供給機構に大きな負荷はかかっていないと考えるのが妥当でしょう。「目的のエネルギー系に最大限の負荷を効率的にかける」点で行くと効率的ではないかもしれません。

 

 

こういったトレーニングは、陸上短距離、中距離走でも利用されることがあります。ビルドアップ式の40秒間走や、徐々に追い込まれていく形式のセット走などなどがそれに当たります。序盤の非常に楽なペースでの運動がセッションの大部分を占め、最後の1~2本だけ追い込まれるようなトレーニングは、陸上競技の現場で多く見られます。

 

 

しかし、有酸素性、無酸素性のエネルギー供給系に最大限の負荷をかけて適応を促すことが目的であるなら、このようなトレーニング形式は、時間効率が非常に悪いのではないか?と筆者は考えています。

 

 

その目的でやるのであれば、序盤にクレアチンリン酸を大きく減らすような刺激を与えて、その後、保てるギリギリのペースで、高い酸素需要を保ったまま量をこなすスタイルの方がセッション全体の無駄が少なく、効率的にトレーニング刺激を得ることができるのではないかと思います。(1000m+300mよりも300m+1000m、序盤ローペース過ぎる40秒走*10本よりも(200m+300m)*数set r:2min…といった具合)

 

 

ただ、序盤ローペースから入るようなトレーニングも、アップの時間を省略する、ゲーム要素を持たせた形式(脱落式の40秒走など)で楽しくやれる等々のメリットもあるはずです。なので、ローペースから始めるスタイルの「ポイント練」なるものも、全て否定されるべきではありません(LSD、イージーラン等々、低めの強度での多量のトレーニングは目的が異なるので、ここでは議論していません)。

 

 

個々の状況に応じて、高強度での練習日の内容を考えてみてはどうでしょうか?

 

 

 

―余談―
そんなこんなのことを加味して、筆者自身、タバタプロトコル実施時には、8本のうち序盤2本をほぼフルスロットル、残り6本をやや強度を落としてイーブンで耐えるスタイルで実施しています。全てイーブンでやるよりも、早い段階で呼吸が乱れて、そこそこしんどい時間がトータルで長くなるので、こちらの方が効率的かな…という印象です。ただ、調子が悪いと終盤ペースがガタ落ちするので、そのあたりの調整が難しい…。

参考文献

・Rønnestad, B. R., Rømer, T., & Hansen, J. (2020). Increasing oxygen uptake in well-trained cross-country skiers during work intervals with a fast start. International journal of sports physiology and performance, 15(3), 383-389.

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