100mスプリンターに必要な体力
100m走で好記録を達成するためには
・素早く加速してトップスピードに乗ること
・高いトップスピードを出せること
・トップスピードを維持できること
この3点が必要です。したがって、この3点に繋がらない練習は意味を成しません。必ずこの3点につながるような目的意識をもってトレーニングをする必要があります。
この3点を達成するためには、身体をパワフルに動かすエンジンである「筋肉」を大きくして、燃料をたくさん積んでおく(グリコーゲンやクレアチンリン酸の貯蔵を増やす)ことが、土台になります。このことは、以下の記事で紹介しています。
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しかし、いくら土台がしっかりできていても、100m走の中でそれらが生かせなければ、タイムの向上にはつながりません。なので、作り上げた土台を改良して、100m走というハイスピードの世界で、その力を発揮できるようにしていく必要があります。そのためのトレーニング期間は、通常「専門的準備期」と呼ばれています。
専門的準備期で成し遂げたいこと
高いスピード&短時間で発揮できる筋力アップ
100m走では、身体を非常に高いスピードで動かすことになります。加えて、地面に足が着いている時間も非常に短くなる(0.1秒くらい)ので、「高いスピードで大きな力を出せる」ことや「短い時間で大きな力が出せる」ことが必要になります。実は、筋肉が大きくなって、最大筋力が上がっても、これらの能力が向上しているとは限らないのです。
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なので、必ず「高いスピード&短い時間で大きな力を出す練習」を積む必要があります。
そのために、何をしたらよいのかというと、シンプルに「100m走に近い練習」を多くこなすことです。100m走の部分練習としてスターティングブロックからの60m走や80m走をやったり、100mのレースに出場することも、そのための良いトレーニングになります。
そのようなトレーニングを多く積むことで、作り上げてきた土台が徐々に改良されて、100m走のタイムが伸びていきます。土台がしっかりとできていることが重要です。土台ができていないと、いくら100m走に近い練習を多くやっても、記録の向上がすぐに頭打ちしてしまいます。
土台ができたからと言ってすぐに100m走のタイムが上がるわけではないこと、そして土台をおろそかにしては大きな記録の向上は望めないことを頭に入れて、トレーニングを進めていきましょう。
トレーニング計画の例
週に2日以上は休養を入れましょう。高いスピードでのトレーニングは筋腱へのダメージが大きいので、確実に回復をさせる必要があるからです。足は休んでいるときに速くなっているという認識を持ちましょう。
ウエイトトレーニングは、筋肉量を増加させる目的から、筋力を高めてそれをキープしていくような意図を持ちましょう。3RMとは3回でギリギリ挙げられる重さと言う意味です。高重量を扱うときは一人でやらずに、必ず補助を付けてトレーニングするようにしましょう。
また、週に1度か、2週間に1度は、高いスピードで追い込むようなトレーニング刺激を与えるようにしておきます。筋肉のエネルギー源を増やしたり、持久力に関わるミトコンドリアを増やしていく刺激を与えるためにも重要です。ただこのようなトレーニングは非常にきつく、疲労も残りやすいため、その前後のトレーニング量を調整する必要も出てきます。自身の体と相談しながら、練習するか、休むかを判断します。