どんな選手も、腕振りで脇は開いている
そもそも腕振りで脇が開くのは悪いことなのでしょうか?
男子100m走世界記録保持者のウサインボルト選手や日本人初の9秒台を達成した桐生選手の走りを正面から見てみましょう。
参考動画(ウサインボルト選手)
参考動画(桐生祥秀選手)
動画の通り、トップレベルのスプリンターでも特に腕を引いた時、少し脇が開いているのが分かります。
このような選手に限らず、人は走っている時、腕振りは完全に縦にはならず、少し脇を開く瞬間があるのです。
これは一体なぜなのでしょうか?
考えられる理由の一つが、走っている時の体幹部の動きにあります。
脇を少し開く理由
ヒトの動きを真上から見た時の動き、これを水平面での動きと言います。
ヒトは走っている時、脚を縦に回転させるだけでなく、腰や骨盤、胸周りなどの体幹部も回転させています。
そして腕振りは、以下の図のように、走っている時の脚や腰を水平面で回転させるのに重要な役割を担っています。

これを踏まえて、脇の開きについて考えてみましょう。
イメージすると分かる通り、脇をやや外に開いて腕を振った方が、この水平面での回転力が大きくなりやすいことが予想できます。これはおそらく、やや脇を開いて、前に振る瞬間に脇を締めるような動作をすることで促されると考えられます。
このようなことから、少し脇を開く方が、この水平面での脚腰の回転を促すことができると言えるでしょう。
脇が開きすぎると…
しかし問題なのは、脇が異常に開いてしまう場合です。この場合、どのようなことが起こるのでしょうか?
腕振りは水平面での動きを引き出すだけでなく、脚の縦の動きを引き出します。

図のように、腕を前から下に振ることは脚を引き上げる動作、腕を後ろから下に振る動作は地面に力を伝えたり、脚を下に落とす動作に繋がります。
もし、脇が完全に開いて横振りになってしまうと、このような腕振りの機能を生かすことができなくなってしまいます。
なので、脇が開き、肩が前にローリングするようにもがいてしまう走りになると、ストライドが上手く出ないような走りになってしまうことが予想できます。
腕振りや上半身の筋肉の重要性についてはコチラを参照してみてください。