肩甲骨の動き方
まずは肩甲骨とは何で、どのように動くものなのかを理解しましょう。
肩甲骨とは左右の背中に付いている、逆三角形の骨のことです。肩甲骨は上腕骨と鎖骨と関節を成しているので、腕や首を動かしたりすれば、自然と肩甲骨も動くことになります。
また、三角筋や広背筋、前鋸筋、上腕二頭筋など、肩甲骨にくっ付いている筋肉は多くあり、これらの筋肉がしっかりと機能する事で、肩甲骨はより動くようになるのです。
そして、この肩甲骨には、動き方が大きく6つあります。
挙上ー下制
図のように肩甲骨を引き上げる動作を挙上、引き下げる動作を下制と言います。
肩をグッと挙げるようにすると肩甲骨が挙上します。逆に肩を下げて、首を長くするようにすると肩甲骨の下制が起きることになります。挙上に関わるのが、上中部の僧帽筋や菱形筋、肩甲骨挙筋といった筋肉です。
下制には下部の僧帽筋が関わります。
上方回旋ー下方回旋
図のように、背中側からみて肩甲骨が内側に回転しながら上に挙がる動きを上方回旋、外に回転しながら下に下がる動きを下方回旋と言います。
外転ー内転
図のように、肩甲骨が外側に開く動きを肩甲骨の外転、内側に寄せるような動きを内転と言います。
外転には前鋸筋や小胸筋という筋肉が関わります。内転には中下部の僧帽筋や菱形筋と言った筋肉が働くことになります。
前傾ー後傾
背中を丸めて猫背を作るようにすると、肩甲骨は前に傾く、つまり前傾します。逆に、バンザイをして胸を反るようにすると肩甲骨も後ろに倒れる(後傾)ようになります。
走りにおける肩甲骨の動き
走っている時の肩甲骨はどのように動いているのでしょうか?
腕を後ろから前に振る時、肩甲骨は「外転ー上方回旋ー後傾」します。つまり、肩甲骨が外に開いて、やや内側に回転するように動きます。
逆に、前から後ろに振る時は、肩甲骨は「内転ー下方回旋ー前傾」します。肩甲骨が寄って、やや前に倒れるような動きです。
したがって、「肩甲骨から腕を振る」とは、腕振りの中で、このような肩甲骨の動きが正しく行えている状態であると言えるでしょう。
肩甲骨の動きを伴わない腕振りをすると?
これらの肩甲骨の動きがない腕振りをすると、肩から下、主に肘下の動きばかりが大きくなることが考えられます。
肘が後ろに引けず、身体の前での腕振りが大きくなるのも特徴です。
こうなってしまうと、身体の中心から腕を振ることができなくなる(肩から先、肘から先しか動かない)ので、腕振りの力強さがなくなります。
すると、腕振りの力で足腰を動かすことが難しくなってしまい、速く走ることは難しくなってしまうでしょう。
また、脇が開いたり、体幹部全体が大きく捻れてしまう動きが出たり、腰が後ろに残りやすいような走りになってしまうことも考えられます。
腕振りや上半身の筋肉の重要性、脇の開きについてはコチラを参照ください。