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傷害予防のノルディックハムストリング(ノルハム)は少なめに!

ケガを防ぐためのエキセントリックエクササイズ(ノルディックハムストリング)

ケガを防ぐため良く活用されるトレーニングに、「エキセントリックエクササイズ」と呼ばれるものがあります。この「エキセントリック収縮(伸張性収縮)」とは、筋肉が縮もうとしながら引き伸ばされる、いわゆる動作にブレーキをかけるような筋肉の使い方のことです。例えば、重たいダンベルを持って、耐えられずに肘が伸びていってしまう…という場合、この「エキセントリック収縮」と言うものが起きています。

 

エキセントリック収縮中は、普通に筋肉が短縮するときよりも大きな力を発揮できたり、速筋線維が使われやすかったりするのが特徴です。

 

 

どうしてこのエキセントリックエクササイズが傷害予防に大切なのかと言うと、肉離れなどのケガが、「エキセントリック収縮中」に起きやすいからです。特にハムストリングの肉離れは、脚を前に素早く引き出しながら、自分の身体に近いところへ引き戻そうとブレーキをかける時に発生しやすいと言われます。

 

 

その時に、ハムストリングが動作にブレーキをかけるような筋力を十分に、かつタイミングよく発揮できなかったりすると、肉離れにつながってしまうというものです。

 

そのため、このような筋力を鍛えておくことは、ハムストリングの肉離れ防止につながる、または肉離れ後のリハビリとしても使えると言われています。そのハムストリングのエキセントリックな筋力を鍛えるトレーニングとして有名なものには「ノルディックハムストリング」と呼ばれるトレーニングがあります

 

 

参考動画(ノルディックハムストリング)

 

このようなトレーニングを練習に組み込んでいたサッカー選手のハムストリングの肉離れリスクは、50%程度低いという報告(Al Attarほか,2017)もあり、怪我防止にはそこそこ効力を発揮しそうなトレーニングであると言えます。


高強度のエキセントリックエクササイズはやりすぎ禁物

「ノルディックハムストリング」のようなエキセントリックトレーニングの難点として、「強度が無茶苦茶高い」と言うのが挙げられます。筋肉が引き伸ばされながらの刺激が与えられるので、筋肉に微細な損傷が起きたりすることが原因の一つとして考えられています。運動後に筋肉痛が発生しやすいのも特徴です。

 

したがって、このエキセントリックエクササイズは「やりすぎ厳禁」なトレーニングであるとも言えるわけです。とある研究(Paschalisほか,2005)では、高強度の高ボリュームのエキセントリックエクササイズ後、4日たっても筋力の回復が追い付かないままだったと言います。

 

 

競技の練習もやりながら、このようなトレーニングもやりながら…だと、回復にはさらなる時間がかかりそうです。このように、エキセントリックエクササイズを取り入れるときは、そのトレーニングの量をいきなり増やしすぎないように調整する必要があります。

 

エキセントリックエクササイズは少なくても良いかも

Lacomeほか(2019)の研究では、サッカー選手を対象に、低ボリュームなエキセントリックトレーニングと、高ボリュームのエキセントリックトレーニングをそれぞれのグループで実施させ、その後の筋力の向上度合いを調べました(トレーニング内容は図を参照)。

 

その結果、低ボリュームでも高ボリュームでも、筋力の向上度合いは似たようなものになりました。

 

 

このように、ハムストリングのエキセントリックエクササイズは「意外と少ない量でも効果が期待できるんじゃないの?」と言われています。疲労が残って、筋肉痛がひどい状態で競技そのものの練習をしても、なかなか効果が上がりにくいというのもあるはずですし(特にスキルの習得やチームの戦術練習)。

 

とはいえ、このようなトレーニングを完全にカットしてしまうと流石に何の効果も得られません。しかし、そこまで量を増やさなくても同じくらいの効果が得られるんであれば、ストレスの少ない手段を選ぶべきでしょう。

 

また、上の研究はサッカー選手を対象にしたものです。陸上競技の短距離選手のように、普段から高いスピードでのスプリントを行い、エキセントリックな負荷がかかっている選手であれば、エキセントリックなトレーニングの疲労があることで、逆にケガを誘発してしまうことにもつながりかねません。

 

トレーニング内容と相談しながら、傷害予防エクササイズの導入について考えていく必要があります。

 

 

ハムストリングの肉離れについてはコチラを参照ください。

・陸上短距離選手におけるハムストリングの肉離れの原因と予防方法(スプリンターと肉離れ)

 

・ハムストリングの肉離れを防ぐためにこそ、「全力スプリント練習」から逃げてはいけない

 

・怪我をしやすいランニングフォームの特徴とは?

 

参考文献

・Al Attar, W. S. A., Soomro, N., Sinclair, P. J., Pappas, E., & Sanders, R. H. (2017). Effect of injury prevention programs that include the nordic hamstring exercise on hamstring injury rates in soccer players: a systematic review and meta-analysis. Sports Medicine, 47(5), 907-916.
・Paschalis, V., Koutedakis, Y., Jamurtas, A. Z., Mougios, V., & Baltzopoulos, V. (2005). Equal volumes of high and low intensity of eccentric exercise in relation to muscle damage and performance. The Journal of Strength& Conditioning Research, 19(1), 184-188.
・Lacome M., Avrillon S., Cholley Y., Simpson B., Guilhem G., Buchheit M. Hamstring eccentric strengthening program: Does training volume matter? IJSPP, 2019 In press.

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