その日の練習の記録や、練習中に感じたことを次に生かしていくためには、「今日はこの記録で、こんな感覚だった」という情報を残しておくだけでは不十分です。
最低限、「何でそういう記録になったのか?何でそういう感覚になったのか?(原因)」と「これからどうするか?(行動指針)」を加えて残しておきましょう。
「今日はこんな感覚だった」は、ただの「結果」です。結果だけをつらつら書き綴るだけでは、自分の行動を適切な方向に修正することがとても難しくなってしまいます。
学校での勉強に例えると、「今日のテストは68点だった。とても難しかった。次はもっと頑張ろう。」・・・などとひたすら書き綴っているのと同じです。「どこを間違えたのか?なぜ間違ったのか?間違えないためには何が必要で、これからどうしていくべきか?」まで分析しないと、次につながりません。
同じことが陸上競技の練習でも起こります。
「今日は走りが弾むような感覚で良かった」
これだけでは、今後どのようなことをしたらより良くなるかが不明ですし、自分の行動に変化を起こすに至りません。なので、今後どうするかを考えなければいけません。しかし、多くの人は次のような書き方をしがちです。
「今日は走りが弾むような感覚で良かった」「この感覚を忘れないようにしたい」今日の感覚が良かったから、その感覚を忘れないようにするのはもちろん大切です。しかし、これでは具体的に何をしたらよいのかが不明瞭です。忘れないようにするには何をしたらいいのか?今日の感覚を再現する為には何が必要なのかを徹底的に考えないと、自分のトレーニングの課題があやふやなままになってしまいます。
ここで必ず必要になるのが、「原因」を考えることです。上の例でいくと「今日の良い感覚が得られた原因」を追及することです。
「今日良い感覚が得られた」のなら、それには必ず原因があります。その原因が分かれば、それを頼りにすることで「今日の良い感覚」が再現できる可能性はグンと上がるはずです。
しかしながら、その原因を正確に突き止めることは容易ではありません。なぜなら、一つの結果に対して考えられる原因が多岐に渡るからです。
「今日は走りが弾むような感覚で良かった」
という結果一つにしても、それまでのトレーニングボリュームがたまたま落ちていて、疲労がうまい具合に抜けて調子が良かったのかもしれませんし、睡眠や食事の質が高かったのかもしれません。または、その日に意識した「走りのコツ」がその日の自分に上手くマッチしたのかもしれません。はたまた、「感覚が良かった」ような気がしていただけで、実はタイムは遅くなっていた・・・ということもあり得ます。

このように、一つの結果に対して考えられる原因は、大抵の場合推察が難しいです。とは言え、これは考えなくてはならない問題です。
毎回毎回こんなことをやっていたら、気がくるってしまいそうになってしまう人もいるかもしれませんが、面倒であっても、ここまでの情報をきちんと考え残しておくことは非常に大切なことです。
そしてそれをひたすらに積み重ねていくことで、「調子の良い時の自分」を再現するための引き出しが増え、逆に「調子が悪い自分」を避けるためのポイントが分かる様になってくるはずです。
ただの「練習感想日誌」にならないように、今日の自分の原因をしっかりと追究して、次の行動につなげていきましょう。
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