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ほめて伸ばすコーチング

ほめて伸ばすコーチング

スポーツの指導に携わっていると、選手(生徒)を毎日のように怒鳴り散らしたり、厳しい言葉を浴びせたり…という光景を目の当たりにすることは未だ少なくないのではないでしょうか?

 

別に厳しい言葉をぶつけることや叱ることを否定しようとしているわけではありません。「怒鳴るだけ、叱る、怒るだけのスポーツ指導」に疑問を呈しているわけです。

 

日々指導者が怒鳴り散らかしているだけのスポーツチームでは、選手はどのような気持ちで練習に取り組むことになるでしょうか?おそらく、練習に取り組む動機が「怒られないようにするため」「指導者から嫌われないようにするため」などと、ネガティブなものになりがちになります。これは指導者への恐れからくるものです。

 

そんな中、元バレーボール全日本代表の益子直美さんがユニークな大会を開催しています。

 

 

関連動画(絶対に怒ってはいけないバレーボール大会)

 

 


ほめるメリットはとても多い

スポーツのコーチングにおける「ほめる」ことのメリットは非常に多いと考えられます。

 

 

選手が嬉しいフィードバックになる

「ほめる」ためには、選手のことをよく見ていなければいけません。選手が何か行動を起こしたときに、その行動が適切だったかどうかを必要に応じて評価し、伝えてあげる(フィードバックする)ことは指導者の役割です。

 

これは、スポーツの技術練習、戦術練習に関わる場面でも、チームとして行動している生活面でも同様です。良いプレーをした時には、そのプレーの何が良かったかを伝えて、ほめることで選手のモチベーションが上がると同時に、その行動が強化されます。

 

何も言わずとも、「選手が今のプレーは良かったなぁ」と感じながら自己反省できるのであれば良いかもしれませんが、選手によっては今のプレーの何が良かったのかも認識せずに、その時間を過ごしてしまいます。

 

練習用具を準備する際にも、積極的に他の手伝いを行う選手がいれば、その行いをほめてあげる…のようなことも同様です。そのほめられている選手の姿を見て、さらに他の選手の行動も促進されるでしょう。個をほめることは、チーム全体の適切な行動を促すことにつながるわけです。

 

とはいえ、選手が不適切な行動をとった時には、それを叱ることも必要です。その場合は理不尽に怒鳴りつけるのではなく、なぜその行動が悪かったのかをきちんと伝えた上で、説得出来なければなりません。相手の話を耳を傾けて、その選手の言い分を理解した上でフィードバックをしましょう。相手が本当に納得すれば、その悪かった行動は適切なモチベーションで抑制されるはずです。

 

A:「怒られるからこの行動はしない」

 

B:「〜することで〜に繋がり、〜に迷惑がかかるからこの行動はしない」

 

前者(A)は指導者がおらず怒られる環境でなくなると、その行動を繰り返します。

 

 

信頼関係が築ける

ほめることは、指導者がきちんと選手のことを見ていることを伝えることでもあります。「ちゃんと見てくれている」という安心感や「ちゃんと自分の努力に寄り添ってくれている」という感情は、選手と指導者の信頼関係の架け橋だとも言えるでしょう。

 

この信頼関係があるかどうかが、何か重要な物事を決定する際の選手の理解の得られやすさや、選手が指導者に意見しやすい環境作りなど、様々な面で影響します。

 

特に、何か選手が間違ったことをしてしまい、それを叱る必要が出てきてしまった場合、この信頼関係が築けていないと、選手は心からそのフィードバックに目を向けてくれないことが起こり得ます。

 

選手と指導者の信頼関係は、選手が自信を持って練習に打ち込めるかどうかにも関わり得ます。信頼できない指導者の練習に真剣に打ち込み、フィードバックに耳を傾けられる選手がどれほど存在するでしょうか?

 

「ほめかた」に気をつけよう

ほめるは具体的に

ほめるのは大事だ!…と言って、無闇にほめるのは良くありません。スポーツの指導をしている以上、選手は赤ちゃんではありません。ほめる時には、その行動、プレー、動きの何が良かったかを具体的に説明することが重要です。

 

例えば「今のプレー良かったよ!もっと頑張って!」という言葉がけは、確かに選手にとっては嬉しいかもしれませんが、なぜそのプレーが良かった、そのプレーのどこが良かったのかが分からないと、選手の行動は適切に強化されません。

 

「今のプレーの〜のところが、〜に繋がって、チームの得点になったんだよ!君のその判断力とプレーのおかげ!」のように、具体的にほめてあげられると、「今のプレーは〜に繋がるんだな、もっと頑張ろう」とその選手は学びを得ますし、それを傍らで聞いていた他の選手の学びにもなり得ます。

 

なかなか練習中に、瞬時にここまで具体的なほめかたはできるものではないかもしれません。そんな時は、練習終わりの集合時間などを使って、他の選手に見える形でフィードバックしてあげられると良いでしょう。

 

 

ほめるのは結果ではなく行動を

ほめる時は出来る限り、得点した、好タイムを出したという「結果」よりも、その結果に至るまでの「行動」をほめることが重要です。

 

良い結果に至るまでの、「良い行動をほめること」は、「良い行動を促す」ことに繋がります。一方で、「良い結果そのものしかほめない」ことは「結果にしか拘ることのできない選手」を生み出します。

 

後者の場合は、「結果を出してほめられる」ことにしか興味関心が湧かなくなる危険性があるので、最悪の場合、「ズルしてでも結果を出したい」というモチベーションに繋がってしまいます。

 

「スポーツは結果が全て」なんてことも言われることがありますが、本当に結果を出せる選手は「行動の最適化に拘る選手」のはずですし、スポーツを通して得られる人生の豊かさや幸せは、結果ではなく努力した過程にあるのではないでしょうか?

 

スポーツで目標の成果を挙げたときの達成感や幸福感は一瞬のもので、決して長続きするものではありません。成果を挙げることも大切ですが、そこに至るまでの過程が、生き生きと輝いているかはさらに重要です。

 

目指すものが明確で、その過程で適切な行動を取れて、かつ生き生きとした選手を育てるために、ほめるべきは結果よりも、行動にあるはずです。

 


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