この記事を書いている筆者も、9歳から26歳(2020年3月時点)まで競技を続ける中で、モチベーションが保てなくなる時期が多くありました。
そのモチベーションが保てなくなるキッカケとして最も大きかったものが「怪我」です。怪我をして長期的にトレーニングができなくなってしまうと、目標と自分の現状のギャップに常に押し潰されそうな状態が続き、何もかもやめたくなる気持ちになってしまうことがよくありました。
トレーニングによるパフォーマンスの向上が何よりのモチベーションだったりしたので、思うようにトレーニングできない現状ほど面白くないものはありませんでした。
モチベーションが保てずに怪我をしている期間はダラダラと過ごしがちで、その後試合に復帰できたとしても、シーズン通して記録は芳しくないということがほとんどでした。「怪我をしてたからしょうがないか」と、ついついダラダラと過ごしてきた期間を正当化しがちになります。
しかし、怪我をしていてもその後大きく記録を伸ばす選手は実際多くいるようで、そういう人たちの話を聞いたり、トレーニングについて勉強しているうちに、怪我をしている期間に対してあまり悲観的にならなくなってきました。
そこで大きく変わった考え方が、「怪我している期間も、トレーニングによる能力の向上を目指す。」です。
怪我をしている期間といえば、「能力が落ちないように…」と今まで培った能力をどうにかキープしようという考え方にハマりがちですが、筆者にとっては「何か1つでも向上させられる要素を見つけて、それをしっかりと伸ばしていける期間にしよう」と捉えた方が、高いモチベーションで日々を過ごすことができました。
例えば、ハムと腓腹筋の肉離れを同時に起こしてしまい、2か月ほど本来のトレーニングができなかった時期がありました。その期間、痛みが出ない範囲で、ハムや腓腹筋への負担が少ない自転車ペダリングトレーニングを、いわゆるタバタトレーニング形式で行い、このトレーニングでの能力向上に集中しました。その結果、復帰後のレースでも好タイムを出し、その1ヶ月後には自己記録、またその2週間後には大きな自己ベスト更新を達成することができた…という経験があります。
これと似たような事例研究に、400m選手がハムの肉離れの回復期間を使って自転車ペダリングによる間欠的高強度運動を行い、その後記録を更新させたというものがあります(奈良ほか,2014)。
このように、怪我をしていたとしても、自分の種目につながりうる、そしてその期間でも伸ばすことができる能力があるのなら、そのトレーニングに集中して、体力を大きく向上させようとする期間として捉えた方が、選手としてのモチベーションも、その後の試合復帰もスムーズにいくことが多いのではないかと感じられます。
現状維持しようとするよりも、一つでも向上させられることに目を向けて、トレーニングに対するポジティブさを失わずに過ごすことが重要です。
もちろん、そのトレーニングによって怪我の悪化に繋がるようなことは絶対にNGですが…。
以上、トレーニングに対するモチベーションを長期的に保って、成果に繋がるようなキッカケを一つでも掴んで頂ければ幸いです。