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コロナで次の試合へ見通しが立たない時のトレーニング計画はどうすべき?

この期間をどう過ごすべき?

「この期間をどう過ごすべきか?」と聞かれたら、当然やるべきは「感染拡大を防ぐための行動を優先」です。

 

が、そんな中でも「せっかく努力して積み重ねてきたトレーニング効果を台無しにしたくない」「今年で引退だし、年内に試合があるか分からないけどやれるだけのことはやりたい」という人は多いはずです。

 

そこでここでは、コロナウィルスの問題で次の試合への見通しが立たないけど、何とか自分のパフォーマンスを高めていきたい人が、この期間をどう過ごすべきかについて、紹介しています。以下、参考程度に。


自分の種目に繋がる体力のトレーニングに努める

まず大切なことが「自分の種目のパフォーマンスに特につながる体力」をきちんと考えてトレーニングすることです。

 

スポーツで高いパフォーマンスを発揮するためには、「体力・技術・戦術・メンタル」の全てを高いレベルまで引き上げる必要があります。その土台を成しているのが、体力です。高いレベルでの体力が無いと、その上の要素を高いレベルで発達させることが難しくなります。

 

競技場やウエイトトレーニングルームが使えない状況で、種目の専門技術を磨くような練習をやるのは限界があるので、この期間では最低限、土台になる体力の維持向上を図るのがよりベターな策だと考えられます。

 

 

そしてこの時重要なのが、「自分の種目により繋がる体力のトレーニング」をやることです。陸上選手が競技場でトレーニングできない時、よくあるのが「とりあえず腹筋500回!」などのパターンです。陸上界は上体起こし好きがとても多い印象ですが、「いやいや自分の種目で一番優先して鍛えるべき筋肉って腹筋なんですか?」という点に疑問を持つことが必要です。

 

多くの陸上競技の種目にとって、主として鍛えるべきは腹筋ではないはずです(腹筋は意味ないからやるなということではないです。ちなみに筆者は腹筋やります。好きなので。)。

 

走種目なら脚の速さや持久力、跳躍なら跳躍力、投擲なら投擲力に繋がる体力をトレーニングしないといけないことは明白です。室内でのトレーニング種目を考える時は、きちんと種目のパフォーマンスにより繋がるもの、優先順位を考えましょう。

 

 

ー種目のパフォーマンスに繋がる体力って何?はこちらを参考にー

・第6回「短距離、跳躍、投てき選手が目指すトレーニングピラミッド」

 

・第10回「陸上競技のトレーニング手段・方法(まとめ)」

 

・短距離走に最も必要な筋肉と筋力トレーニング方法

 

・実践!陸上競技の練習方法

 

・【陸上競技】ウエイトトレーニングの必要性とトレーニング方法大全

 

 

より専門的な体力の維持向上に努めておくと、競技場練習への移行がスムーズ

体力には、一般的体力専門的体力があると言われています。

 

 

一般的な体力は、高めたからと言ってすぐにパフォーマンスに繋がるわけじゃないけど大事な体力です。

 

一方、専門的な体力は、パフォーマンスに直結しやすい体力で、種目そのものを遂行する体力とも言えます。

 

この一般的な体力と専門的な体力は、種目によって当然異なり、両者に明確な境界線はありません。

 

ここで、

・次の試合がいつになるか分からない
・競技場がいつ使えるようになるか分からない
・けど今年の試合で高いパフォーマンスを発揮したい
・そのための準備をしておきたい

…という場合は、専門的体力寄りの能力を維持向上させるトレーニングをチョイスするのが良いかもしれません。

 

というのも、その方が「競技場でのより専門的なトレーニング、技術練習」にすぐに移りやすいからです。

 

一般的なものばかり長期間やっていると、いざ競技場で練習できるようになったとしても「なんだかキレが無さすぎる」「スピードが絶望的に出せない」などの状態になってしまうことが良くあります。冬季練習明け直後のようなイメージです。こうなると、次の試合の予定が立ったとしても記録を狙うには、パフォーマンスの引き上げが間に合わない可能性があります。

 

 

なので、スムーズに競技場練習に移行して、パフォーマンスに直結するトレーニングをガシガシと行えるようにするためには、より専門的な体力を維持向上させるトレーニングに専念した方が良いと考えられます。

 

 

ーより専門的な体力って何よ?の参考記事ー

・第12回「一般的準備期の過ごし方(基礎体力を高めよう)」

 

・第13回「専門的準備期の過ごし方(種目そのものの体力を高めよう)」

 

 

専門的体力に近い自宅トレーニング

じゃあ競技場が使えなくて、皆で集まってでのトレーニングもできない場合、この専門寄りの体力を鍛えるトレーニングはどのように行えば良いのでしょうか?

 

 

瞬発的な種目のトレーニング

スピードや切り返し動作を意識

自宅で単に自重トレや、何か重りを持って筋トレをやる…のに加えて、スピードや動作の切り返しを意識したトレーニングを実施してみましょう。競技種目のパフォーマンスにつながる特異的な筋力を維持・向上させることができます。

 

また、自重で行うトレーニング、負荷(重り)の小さいトレーニングの場合だと、連続で30回、40回とできてしまうトレーニングも多いです。しかし、このやり方でゆっくりやるトレーニングだと、回数の序盤では瞬発的な筋力により重要な速筋線維を十分に刺激することができません。

 

 

しかし、高いスピード&切り返し動作を意識すると、トレーニングの序盤から速筋線維を動員させることができる+短時間で速筋線維を刺激できるので、「瞬発力を高める」という目的で行くと、より効果・効率ともに高いトレーニングになります。10秒―20秒間連続で、とにかく速く全力で動かすような形でのトレーニングもアリでしょう。

 

 

そこそこ限界までやる

また、30回、40回とやれてしまうようなトレーニングでも、限界までやれば速筋線維をきちんと動員することができます。逆に、ゆっくりとした動作のトレーニングを余裕がある中で終わらせてしまうと、速筋線維を十分に刺激することができません。

 

基本的に、自重など軽負荷でやるトレーニングは限界まで行うことを意識してみましょう。

 

一人でやるには精神的にツライ場合は、短時間で全力でスピードと切り返し動作を意識して行うタイプのトレーニングの方が向いているかもしれません。

 

 

持久的な要素も重要な種目の場合

高強度短時間でのインターバルトレーニング

ロングスプリントや中長距離種目では、持久的な能力も見逃すことはできません。トレーニングしなければ当然低下していきます。

 

持久的な能力にも、一般的なものと専門的なものがあると考えられます。簡単に言うと、種目の持久力に直結する持久力、つまり「その種目でのスピードの持久力」ほど専門的体力、その種目でのスピードを伴うわけではないけど、持久力の基盤として重要なものが一般的体力…というような感じです。

 

 

そして、より専門的な持久的能力を効率よく刺激するためのトレーニングには「短時間高強度のインターバルトレーニング」が挙げられます。有名なものに、タバタトレーニングが挙げられます(20秒高強度運動+10秒休息×6~8set)。タバタ式でなくとも、似たような形式でやれれば一定の効果は望めるはずです。

 

・本当のタバタトレーニングとその効果(実践動画)

 

しかし、室内で強度の高い運動をやるには限界がありますし、かといって人の多い広い場所に行くのも良くありません。実施するのであれば、人がいない坂道や階段を使ってトレーニングするしかないでしょう。その場合、ほぼ全力での全身運動を短い休息でつないで数セットやれるようにしてみましょう。

 

(人ごみを通らないと練習場所に行けない場合は、自粛しましょう。)

 

―トレーニング例―

・坂道50m×8~15 r:40秒jogでスタート位置に戻る
・階段50段駆け上がり×10 r:1分(下りる際のつまづき転倒に注意)

 

競技場での専門練習や試合でのハイパフォーマンスにスムーズにつなげる目的でいくと、優先すべきは、遅いスピードでの持久力向上ではなく、種目のスピードに近い高いスピードでの持久力向上トレーニングです。数時間jogして色々な人がいる場所を駆け巡るよりも、ひと気のない場所でこそこそと高強度でインターバルトレーニングをやる方が、自分のためにも世のためにもなるはずです。

 

 

局所的な筋持久力を鍛える

人が一切いない練習場所がない場合は、おとなしく自宅でトレーニングするしかありません。持久力を鍛えるというのであれば、局所的な筋持久力を鍛えることも一つの手です。

 

鍛えたい部位のトレーニングを限界までやる、もしくは短い休息で数セット行う形でも、その部位の筋持久力を高めることができます。400m選手などでは特に股関節周りの筋持久力は重要です。鍛えておいて損はないでしょう。上半身も重要です。

 

・陸上短距離(100m 200m400m)における後半の速度低下を改善させたい人へ

 

 

自粛期間に気を付けること

複数人で集まってトレーニングしない・人が多い場所を避ける

言うまでもありません。

 

 

維持ではなく向上に努める

体力維持…というより、今できる範囲での「能力向上に努める」意識で取り組みましょう。「維持のために頑張る」よりは、「トレーニングの過程で何かの能力が向上した」という喜びがある方が、モチベーションも保ちやすい場合は多いのではないでしょうか。

 

何か一つでもトレーニング状況を評価する指標を作って、その能力向上に励んでみましょう。また、その能力は種目のパフォーマンスにより関連の強い能力であることが望ましいです。

 

アプリを使って跳躍高をテストしたりするのも良いでしょうし、スピードを意識したトレーニングが20秒間で何回やれるか…など、簡単なもので良いと思います。

 

※関連アプリ:My Jump2(有料ですがとても有能です)

 

 

体脂肪の増加に気をつける

外出する機会がほとんどなくなると、活動量が極端に少なくなるので当然これまでと同様の食生活をしていれば太ります。定期的に体重や、皮下脂肪のつまみ具合などをチェックして、食事量をコントロールしましょう。

 

さあ試合が決まったぞというときに、無駄に太ってしまった状態だと、当然よい成績は望めません。

 

逆に、筋肉が付きづらいなぁと感じている人にとっては、「他の余計な活動量が減って、エネルギー収支をプラスにしやすい」「睡眠時間が増えやすい」などの理由から、筋肉量・筋力UPに理想的な期間だとも考えることができます。

 

さいごに

せっかく冬季練習頑張ってきたのに、今年が競技人生最後なのに、今は何とかモチベーションも保てて自宅でのトレーニングも頑張れてるけどこの先ずっと外で練習できない試合も無いんだとしたら、いつしか気持ちがプツンと切れてしまいそう…という声があちらこちらから聞こえてきます。

 

呑気にスポーツやっている場合ではない状況なので、致し方ないということは皆が理解しているはずですが、とは言え過ぎた時間は戻ってきません。「私が今年にどれだけ懸けてきたと思ってるんだ」と心の中で叫びたい気持ちの人が大勢いるはずです。

 

筆者も本来なら、今頃5月~6月に控えていた憧れの大きな大会に向けて、レースを積んで、そこそこの記録を出して、心身ともに充実させて、「さあもっともっと頑張るぞ~」と、気持ちが高まっていたはずです。しかし、今では何とも言えない虚無感と対峙する日々です。見通しが立たない先が見えないというのは人をよく不安にさせます。

 

ですが、自分の置かれた状況をどれだけ悔もうが嘆こうが、自分にとって良いことは何も生まれないので、こんな世の中にアレコレと言ってる暇があったら、自宅でも何でも自己記録を目指せるような策を徹底的に考えろ、シーズン後半~終盤に競技会が開かれる可能性がたとえ僅かであってもそれを信じて努力しろ、置かれた状況を嘆くことに無駄な労力と時間を費やす暇があったら鍛えて学んで、たまに情報発信して少しでも社会貢献やってろよ、

 

くらいの気持ちで頑張って行こうと思っています。

 

人それぞれ、置かれている状況は違うはずですが、より多くの人が、今シーズンを納得の形で終えられるように願っております…!

 

(稚拙な文章失礼しました!)

 

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