じゃあ競技場が使えなくて、皆で集まってでのトレーニングもできない場合、この専門寄りの体力を鍛えるトレーニングはどのように行えば良いのでしょうか?
瞬発的な種目のトレーニング
スピードや切り返し動作を意識
自宅で単に自重トレや、何か重りを持って筋トレをやる…のに加えて、スピードや動作の切り返しを意識したトレーニングを実施してみましょう。競技種目のパフォーマンスにつながる特異的な筋力を維持・向上させることができます。
また、自重で行うトレーニング、負荷(重り)の小さいトレーニングの場合だと、連続で30回、40回とできてしまうトレーニングも多いです。しかし、このやり方でゆっくりやるトレーニングだと、回数の序盤では瞬発的な筋力により重要な速筋線維を十分に刺激することができません。

しかし、高いスピード&切り返し動作を意識すると、トレーニングの序盤から速筋線維を動員させることができる+短時間で速筋線維を刺激できるので、「瞬発力を高める」という目的で行くと、より効果・効率ともに高いトレーニングになります。10秒―20秒間連続で、とにかく速く全力で動かすような形でのトレーニングもアリでしょう。
そこそこ限界までやる
また、30回、40回とやれてしまうようなトレーニングでも、限界までやれば速筋線維をきちんと動員することができます。逆に、ゆっくりとした動作のトレーニングを余裕がある中で終わらせてしまうと、速筋線維を十分に刺激することができません。
基本的に、自重など軽負荷でやるトレーニングは限界まで行うことを意識してみましょう。
一人でやるには精神的にツライ場合は、短時間で全力でスピードと切り返し動作を意識して行うタイプのトレーニングの方が向いているかもしれません。
持久的な要素も重要な種目の場合
高強度短時間でのインターバルトレーニング
ロングスプリントや中長距離種目では、持久的な能力も見逃すことはできません。トレーニングしなければ当然低下していきます。
持久的な能力にも、一般的なものと専門的なものがあると考えられます。簡単に言うと、種目の持久力に直結する持久力、つまり「その種目でのスピードの持久力」ほど専門的体力、その種目でのスピードを伴うわけではないけど、持久力の基盤として重要なものが一般的体力…というような感じです。

そして、より専門的な持久的能力を効率よく刺激するためのトレーニングには「短時間高強度のインターバルトレーニング」が挙げられます。有名なものに、タバタトレーニングが挙げられます(20秒高強度運動+10秒休息×6~8set)。タバタ式でなくとも、似たような形式でやれれば一定の効果は望めるはずです。
しかし、室内で強度の高い運動をやるには限界がありますし、かといって人の多い広い場所に行くのも良くありません。実施するのであれば、人がいない坂道や階段を使ってトレーニングするしかないでしょう。その場合、ほぼ全力での全身運動を短い休息でつないで数セットやれるようにしてみましょう。
(人ごみを通らないと練習場所に行けない場合は、自粛しましょう。)
―トレーニング例―
・坂道50m×8~15 r:40秒jogでスタート位置に戻る
・階段50段駆け上がり×10 r:1分(下りる際のつまづき転倒に注意)
競技場での専門練習や試合でのハイパフォーマンスにスムーズにつなげる目的でいくと、優先すべきは、遅いスピードでの持久力向上ではなく、種目のスピードに近い高いスピードでの持久力向上トレーニングです。数時間jogして色々な人がいる場所を駆け巡るよりも、ひと気のない場所でこそこそと高強度でインターバルトレーニングをやる方が、自分のためにも世のためにもなるはずです。
局所的な筋持久力を鍛える
人が一切いない練習場所がない場合は、おとなしく自宅でトレーニングするしかありません。持久力を鍛えるというのであれば、局所的な筋持久力を鍛えることも一つの手です。
鍛えたい部位のトレーニングを限界までやる、もしくは短い休息で数セット行う形でも、その部位の筋持久力を高めることができます。400m選手などでは特に股関節周りの筋持久力は重要です。鍛えておいて損はないでしょう。上半身も重要です。