一般的準備期で達成すべき目標には、以下の3点が挙げられます。
①身体機能の全般的水準を上げる。
②身体能力を多面的に発達させる。
③運動能力を拡充する。
まず、パフォーマンスの土台となるそもそもの基本的な身体能力を全般的に高めることが重要です。基礎的な筋肉量や筋力、持久力だけでなく、調整力や身体の可動性などを総合的に高めていきます。
ここで注意すべき点は、全般的にといっても、「最終的にパフォーマンスに貢献しうる能力を向上させる。負の転移をできる限り生まないよう工夫する」ことです。
例えば「総合的に何でも能力を高めなきゃ!」と言って、スプリンターが握力鍛え続けてもパフォーマンスには転移しづらいのは見え見えです。逆に前腕ムキムキだと走る時重そうですし、逆に足が遅くなってしまう可能性が高いでしょう。このような負の転移が極力怒らないように、その競技種目には何が必要か、深く理解できていることは前提です。必要な要素を総合的に高めていく、または総合的に高めつつも、自身の弱点に相当する要素を重点的にトレーニングしていくことが重要です。
また、身体能力は多面的に向上させる工夫を凝らす必要があります。例えば、筋力トレーニングを行う際には、ある関節角度での筋力だけを鍛えるよりも、広い可動域に渡って筋力を高めるだとか、持久力を向上させるにしても、jogのような遅い持久力だけでなく、高いスピードでの持久力も・・・と言うように、一つの能力であっても色々な面から向上させることが必要です。他には、股関節を伸ばす筋力向上のために、スクワットだけでなく、デッドリフトも用いるだとか、持久力を高めるためにランニングだけでなく、水泳を用いる・・・なども考えることができます。
これは、たとえ同じ「筋力向上」を目的にしていても、1つのトレーニングによって得られる効果は1つだとも考えられるからです。スクワットによって得られる効果は、スクワットをやる能力向上です。デッドリフトでまず得られる効果はデッドリフトをやる能力向上です。そこで得られた効果が、色々な能力に転化していくということを考えると、同じ目的でもトレーニングの幅は広くしておいた方が、後につながる能力向上の幅も広がるというわけです。また、色々な手段でトレーニングをした方が能力向上の頭打ちを防ぐことにもつながります。
しかし、同じトレーニングでなければ前回のトレーニング時との比較がしづらくなり、能力向上の進捗度合いが分かりにくくなるというデメリットも考えられます。
一つ能力向上度合いを評価するコントロールテスト種目を設定して、その能力向上のために色々なトレーニングに取り組むようにする、同じトレーニングを定期的に取り入れて、日々能力向上度合いをチェックするような試みが必要です。