※以下、マトヴェーエフ(2003,2008)を基に解説。
専門的準備期の目標の1つに
一般的準備期で作った土台を改良し、ハイパフォーマンスを発揮するための準備を進めていくこと。
が、挙げられます。一般的準備期で主に培った能力は、種目のパフォーマンスを上げるために重要である一方、それらを高めたとしてもすぐに専門種目のパフォーマンスUPにつながるかどうかは分からないものが多いです。例えば、短距離走に必要な筋肉を大きくする、速筋線維を肥大させることは、速く走るための重要な土台とみなせますが、ただ単に筋肉が大きくなっただけで、100m走ですぐに自己ベストが出せるとは限らないことは容易に想像ができるはずです。
そのため、その固めた土台部分を改良して、実際の専門種目のパフォーマンスUPにつなげる期間が、この専門的準備期に当たります。

ここでは、「試合の部分練習」や「試合そのもの」に取り組むことが、重要なトレーニングになります。専門種目のパフォーマンスUPにつなげたいのなら、その専門種目にガシガシ取り組むことが重要です。これは言うまでもないかもしれません。短距離走であれば専門種目に近い距離のトライアルを多く実施したり、強度の高いトレーニング刺激として実際にレースに参加したりします。この過程を経ないと、自身の専門的体力を極限まで高めていくことはなかなかできません。
なので、目標の試合から逆算して、トレーニングとして適切に「試合」を選択していくことも重要な戦略とみなすことができるでしょう。
この段階では、一般的なトレーニングの割合は必然的に減っていきます。ここで一般的なトレーニング量を増やしたままだと、専門的なトレーニングからの回復が追い付かず、怪我やオーバートレーニングに繋がってしまう危険性が上がってしまうからです。