試合期では、
主要な試合に出場する全期間にわたって、スポーツフォーム(試合で最高のパフォーマンスが発揮できるための心身の準備状態)を維持、そして最大限にするための条件を整えること。
が、目的になります。これを達成できるようにするためには、例えば、目標のレースに向けた具体的なレースプランに準じた実践的なトレーニングを多くやるだとか、試合当日雰囲気にのまれて緊張してしまうことが無いよう、予め試合会場でトライアルをやる…などといった心理的な準備、戦術の最適化が必要です。
もちろんそれまでの準備期間で最高のパフォーマンスを発揮できるための土台がしっかりと作れていることが前提ですが、そこに加えてメンタルや戦術要素を最適化させることで、極限まで、その選手のパフォーマンスを高めることができます。一方で、逆にこのメンタル面や戦術面の最適化が上手くいかないことによって、高いパフォーマンスが発揮できなくなってしまうことが良く起きます。
このように、心理面や戦術面の最適化は、高いパフォーマンスのために必須とも言える反面、その変動が激しく、失敗すればパフォーマンスに大きな悪影響を与えてしまうことにつながりかねないものであると言えます。

また、この試合期では、それまで築いてきた「一般的体力」や「専門的体力」の土台を、根本的に作り替えることはできないとされています。土台を作り替えるようなトレーニングを行うこと、それはつまり一旦積み上げた土台を崩して、それに特化したトレーニングを集中的に行わざるを得ないからです。重要な試合が続くこの時期に、土台の根本的な作り直しを行うことは、現実的ではありません(次の試合までの期間が非常に長い場合を除く)。
とは言え、この試合期で「試合への調整」ばかりをやっていては、トレーニング量が不足しがちになり、結果としてこれまで培ってきた「専門的体力」や「一般的体力」が、徐々に失われていきがちです。したがって、この試合期では、試合への調整を行いつつ「専門的トレーニング効果も獲得」し、「一般的トレーニング効果も保っていく」試みが必要になります。
具体的には、試合が続く時期であっても、専門的トレーニングを十分に行える時期を作ったり、土台の筋肉量や筋力を維持向上させるため、シーズン中であっても高強度のウエイトトレーニングを組み込んだり…です。