さて、ここまで短距離・跳躍・投てき選手のパフォーマンスピラミッドと、それに応じたトレーニングについて紹介してきました。しかしこれらは全て「体力(筋力や持久力など、身体能力の総称)」の話です。
スポーツのパフォーマンスにはこの「体力」だけでなく、当然「技術」や「戦術」も関連します。高いスピードを出せるスプリント技術や、助走速度を失わずに踏み切る跳躍技術、物体に効率的に力を伝える投てき技術を磨かなければ、記録を向上させることは難しいですし、大失速を招かないペース配分、どの高さから試技を開始するか、パスをするべきか?などの戦術によっても順位は大きく変動します。
「体力オバケ」なだけではダメで、その種目に応じた技術を高め、戦術を最適化させていく試みをしていかなければいけません。
とは言え、「技術」を高めるためには、それが習得できるための体力が必要な場合があります。例えば「ハードリングが上手くなりたい」のに、高いハードルを越せるだけの跳躍力が無い場合、いくらハードルの技術練習をしようと思っても、そもそもハードルを越すことさえできないので練習になりません。この場合は、跳躍力や基礎的な筋力を高める体力トレーニングに専念した方が、ハードリング技能を高める近道になることがあります。
このように、ある「技」を習得しようと思ったら、それを習得できるだけの「体力レベル」が備わっていないと、そもそも話にならないわけです。逆に、体力だけは一流なのに、技術が皆無というケースもあるでしょう。
ポケモンに例えれば、「レベルの低いポケモンは大技を覚えられないし、レベル100でも「たいあたり」しか使えなければ負ける」です。
