前回の記事でも説明した通り、トレーニングを効率的に進めていくためには、「トレーニングの干渉作用」を最小限にすることが重要となります。
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では、この干渉作用を防ぐためには、どういった試みが必要なのでしょうか?
筋力トレーニングを持久トレーニングを同じ時期に、または同じ日に実施しない
干渉作用の中でも最も注意すべきなのが「筋力向上」と「持久力向上」のトレーニングについてです。これらを同時に進行させた場合、持久性トレーニングの強度・頻度が大きくなればなるほど、筋力の増加を制限すると言われています(Wilson et al.,2012)。できる限り、筋力・筋肉量UPを狙ったトレーニングと、持久力向上を目指したトレーニングは同じ日に行わない、もしくは同じ期間に行わないようなトレーニング計画ができると良いでしょう。
局所的なダメージが蓄積しないように留意する
例えばランニングなどで脚に局所的なダメージが多く蓄積された状態で、さらに脚へのウエイトトレーニングをガシガシと行ってしまうと、局所的なトレーニング刺激が増えすぎてしまって、結果的に筋力も持久力も向上しないということになりかねません。実際に、ランニングのような一歩一歩ブレーキをかける筋収縮は、その速度が高いほど筋肉を分解してしまうタンパク質が多く発生してしまうとも言われています(Ochi et al.,2010)。
そのため、できる限り局所的なオーバートレーニングを招かないように、トレーニング刺激を与える部位を分けるなどした対策が必要です。
エネルギー収支を保つ
特に持久トレーニングを多量に実施するとなると、当然多量のエネルギーを消費することになります。これによって、日々のエネルギー収支がマイナス、つまり体重が減少していくようなことになってしまえば、ウエイトトレーニングを実施してもなかなか筋肉量・筋力UPが望めなくなってしまいます。
先述の、急ブレーキをかけるような負荷によるダメージからの回復にも必要なことですが、高強度のスプリントや持久トレーニングをガシガシ実施しているときは、極端な減量はせずに、しっかりとエネルギー量を確保してトレーニングに励んだ方が賢明でしょう。
主として向上させたい能力のトレーニングを最大の質で行えるように計画する
主として向上させたいトレーニング要素がハッキリしていれば、まずはそのトレーニングを常に最高の状態で行えるようにトレーニングを組むようにしてみましょう。例えば、筋肉量を向上させることをメインにするなら、そのためのウエイトトレーニングをレスト明けに持ってくる、走って疲労困憊になった後に組み込まない…などです。
まずはそのトレーニングの強度や量を最大化できるように、他のトレーニングは維持程度で、トレーニングの共倒れを防ぐイメージです。
このように、来シーズンに大化けしてやろうと張り切って、トレーニング課題を作りすぎてしまい、結果的にトレーニングを詰め込み過ぎて、どの要素も向上させられなかった…という結果にならないような工夫はとても重要だと考えられます。
特に、競技歴の長い、レベルの高い選手ほど、トレーニングによる能力向上はそう簡単に起こるものではなくなってきます。
アレコレやろうとして、全部共倒れしてしまった…ということにならないよう、確実なトレーニング効果を求めて実践してみましょう。
次回からは、ここまで紹介してきた内容を基に、実際にトレーニング計画をしてみましょう。
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