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第20回「トレーニングをやる上で死ぬほど大事な原理・原則」

トレーニングをやる上で死ぬほど大事な原理・原則

前回までの記事では、トレーニングを計画する上で抑えておくべき全体像や注意点について紹介してきました。

 

 

そして今回は、そのトレーニングを実行していくうえで重要な原理・原則について説明しておきます。ここで紹介する「トレーニングの原理・原則」は、トレーニングをやる上で最重要ともいえる項目なので、しっかりと確認しておきましょう。

トレーニングの原理

「トレーニングの原理」とは、ざっくりいうと「トレーニングする上で必ずそうなること」に当たります。一方で、トレーニングの原則「トレーニングする上で守ると効率が上がること」です。少し簡略化しすぎかもしれませんが、そのトレーニングの原理が以下の3項目、トレーニングの原則が以下の5項目です。

 


まずはトレーニングの原理から。

 

 

過負荷の原理

過負荷の原理は、日常生活レベル以上の少し高めの負荷を与えないと、能力は向上していかないということです。例えば、日常生活で歩いたり、階段を上ったりしているだけで、下半身の筋肉がどんどん発達して、ムキムキになっていくなんてことはほとんどあり得ません。歩いたり、少し走ったくらいでフルマラソンが走れるような持久力は当然ながら向上していきません。なぜなら、その負荷が日常生活レベルだからです。

 

なので、筋肉を増やしたり、筋力を高めたり、持久力を高めたりするにしても、「普段よりも少し高めの負荷」を与えてあげることが必要なわけです。この原理を無視してしまっては、トレーニング効果は絶対に得られません。

 

 

可逆性の原理

可逆性の原理は、「トレーニングを中断したらその能力は元に戻ってしまう」というものです。どんなに鍛え上げられたアスリートでも、引退してしまえばかつてのようなハイパフォーマンスは発揮できません。なので、トレーニングは継続することが必須です。

 

 

特異性の原理

特異性の原理とは、「トレーニングした能力以外は向上しない」ということです。「腕を鍛えたら腕が強くなる。けど脚は強くならない。」というように、身体はそのトレーニング刺激に特異的に適応するというものです。水泳で鍛えられるのは泳ぐ能力ですし、走って鍛えられるのは走る能力です。

 

 

これら「トレーニングの原則」は、全て至極当然のことかもしれませんが、トレーニングをやる上で必ず押さえておかなければならないものです。これらを無視したトレーニングに成功はありません。なぜなら「必ずそうなるから」です。

トレーニングの原則

一方で「トレーニングの原則」トレーニングをやる上で守ると効率が上がることです。

 

 

漸進性の原則

いきなりですがこれが、トレーニングの原則の中で最も重要だと言える項目です。死ぬほど大事です。

 

トレーニングを続けていると、その負荷にどうしても慣れてきてしまいます。慣れてくるということは、悪くとらえると「トレーニング効果が下がっている」ということです。過負荷の原理の説明でもあった通り、「普段と同じ負荷」を与え続けていてはなかなか能力は向上しません。なので自分の能力向上に応じて、負荷のレベルは上げていかないといけないわけです。

 

そして、逆にこの能力の向上がなければ、負荷を徐々に上げていくこともできません。なので、トレーニングを開始して半年もたっているのに負荷をレベルアップできていなければ、それはトレーニングが上手くいっていないと思った方が良いでしょう。

 

 

全面性の原則

全面性の原則は、「競技力向上につながる要素を全面的にトレーニングすべき」ということです。よくある勘違いが「全面性だから、全部位を鍛えないと!」というものです。似ているようで、これらは全く違う考え方です。

 

例えば足を速くするトレーニングをするとして、「全面性だから全部位鍛えないと!」と勘違いしていると、競技力向上にほぼ関係なさそうな「握力などの前腕の筋力も鍛えるべき!」という理屈にも賛成しなければならなくなってしまいます。

 

あくまでも、競技力向上につながる要素を全面的に鍛えるのが重要というわけです。400m走ではスピードも持久力も大事だから、どちらか一方だけでなく両方トレーニングしましょうということです。

 

 

個別性の原則

個別性の原則は「トレーニング効果には個人差があるから、個人差を考慮したトレーニングにしようね」というものです。「個人差があるね」で終わってはいけません。「個人差を考慮してトレーニングする」のです。

 

例えば小学生が100mを速く走るトレーニングと、日本トップスプリンターが100m走で日本記録を目指すトレーニングが、同じでいいはずがありません。それは分かるのに、「トップ選手のトレーニングは効果が絶大だ」として認識してしまう、取り挙げられてしまうのが世の常です。

 

個に応じたトレーニングを第一に、その人自身が強くなれれば手段は何でもよいわけです。

 

 

反復性の原則

可逆性の原理でも述べましたが、トレーニングをやめて1年もすれば、大体の身体能力は劇落ちします。体力トレーニングも技術トレーニングも、反復して行いましょう。継続が命です。

 

意識性の原則

部位や目的を意識するのは、トレーニング計画を立てる段階でも重要であるとともに、その目的をしっかりと把握して今まさにトレーニングに臨んでいるかも重要な意味を持ちます。目的があやふやなままだと、気持ちも入りにくいでしょう。「このトレーニングは~のためにやっているんだ!」という意識があるのとないのとでは、そのトレーニング効果も大きく変わってくるはずです。

 

「能力の向上があるか?」に敏感になる

トレーニングの原則の中で死ぬほど大事だと強調したのが「漸進性の原則」、負荷は徐々に上げていくといいよ(自然と上げていける)というものです。

 

そしておおよそのトレーニングは、この原則に則って「負荷を徐々に上げられていれば上手くいっていると判断」して良いと考えられます。それは能力が向上している大きな指標だからです。「主観的には感覚が良い」ことも大事です。しかしそれ以上に「きちんと数値が向上している」も大事です。陸上競技の場合、勝敗を決めるのは自分の感覚ではなく「数値」だからです。

 

・ウエイトの扱える重量が向上している?
・同じタイムでも楽になった。
・タイムが短縮した。
・コントロールテストの記録が上がった。
・筋肉が付いてきた(形態的変化)。

 

などなど。なんの能力も上がっていないだとか、逆に能力の低下が長期的にみられるようなら、それはトレーニング失敗です。メニューや食事の見直しが必要でしょう。

 

しかし、コントロールテストなどの測定は、気温や練習状況によって大きく数値が変わるので注意が必要です。

 

例えば「筋肥大を目的としたトレーニング期間中には、最大筋力はあまり向上していない」可能性があります。これは当然の話で、マックスに近い筋力を発揮するトレーニングをしていないからです。筋肥大のトレーニングがしっかりやれていれば、その後マックスに近い筋力を発揮するようなトレーニングをすることで、大きく最大筋力を向上できる見込みはあります。

 

その他のトレーニングも同様です。土台作りをしているときに、土台の改良に当たるようなトレーニングでの数値が思ったより向上していないことがあるのは当然です。

 

※400m選手の場合

基本的な体力向上の考え方を大切に

基本的な体力向上の考え方に「超回復の理論」と呼ばれているものがあります。これは、選手の状態を「体力レベルの上がり下がり」で示した考え方です。トレーニングについて勉強したことのある人なら誰もが把握しているはずの考え方です。

 

 

 

まずはこの考え方に基づいて、トレーニングを確実に進めて、能力の向上を実感できるようになるところから始められると良いでしょう。初心者でも、熟練者でも大切にしなければならない考え方です。

 

また、トレーニングが上手くいっているかどうかを判断するときには、以下のような視点をもって考えると良いでしょう。

 

~トレーニングと回復が適切な場合~
<感じ方>
 能力の向上を感じ,モチベーションも上がる。たまに疲労を感じることもあるが,回復が十分間に合っているので,そのうち消える。

 

<対応>
 そのまま回復を意識して,パフォーマンスを向上させていく。
パフォーマンスの伸びが滞ってきたら,トレーニング計画の修正を図る。強度や量,頻度を少しずつ増やす。

 

~トレーニング刺激が不十分な場合~
<感じ方>
 しっかり休んだ感じがある。疲労や怪我もない気分爽快な状態だが,パフォーマンスの向上はしていない。

 

<対応>
 健康を維持するためには十分な運動量ではあるが,パフォーマンスを向上させるなら,トレーニングの強度や量,頻度を増やす必要がある。

 

~トレーニング刺激が強すぎる or 回復が不十分な場合~
<感じ方>
 ハードなトレーニングを続けてきたにもかかわらず,パフォーマンスの向上が感じられず,疲労感を覚える。以前までこなせていたメニューを消化できなかったり,集中力や睡眠に悪影響が出ている。

 

<対応>
 トレーニングの内容,回復や食事などの見直しが必要。

 

トレーニングは「やればやるほど効果が上がる」ものではありません。必ず適量というものが存在します。

 

本当に良いトレーニングというのは「めちゃくちゃトレーニングした!という達成感の大きいトレーニング」ではなく、「最も効率的に能力が向上するトレーニング」のはずです。

 

なので、個人に合った適量というのを探っていく必要があるわけです。それは、意外と自分が思っているよりも少ないものだったり、多かったり…するものです。また、個人レベルや生活環境、性別、食事や睡眠の質によっても変化し得ます。

 

そこで次回からは「トレーニング効果を最大化させるための栄養摂取、睡眠、その他リカバリー方法」について紹介していきます。

 

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