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第21回「筋肉量・筋力UPのための食事方法」

筋肉量・筋力UPのための食事

前回の記事までは、トレーニングを効果的に進めて効率よくパフォーマンスを高めるためのトレーニング手段や方法の選び方、中長期的なトレーニング計画の仕方について紹介してきました。

 

 

しかし、どんなに良いトレーニング計画を立てても、食事や睡眠などの生活習慣が疎かだとパフォーマンスは上がらない、むしろ低下すると断言できます。トレーニングと食事、睡眠はセットで一つのトレーニングだと考えた方が良いです。それくらい、食事や睡眠は重要な意味を持ちます。

 

ここではまず、「筋肉量・筋力UPのための食事ポイント」について紹介していきます。

合成>分解にすれば筋肉が増える

まず理解しておかなければならないことが、筋肉というのは「分解より合成量を増やしてあげれば増える」ということです。筋肉は、下図のように常に「合成と分解」を繰り返しています。食事を摂るとタンパク質の合成が高まり、逆に空腹時は分解が進みます。

 

 

そして、問題なのは「トレーニングも筋肉の分解を促してしまう」ことです。筋肉を付けようとトレーニングをしても、食事なしでは筋肉の分解が進み続けてしまうわけです(食事と組み合わせると、トレーニングは筋肉の合成をより高めるスイッチにもなる)。

 

~合成を促すもの~
・食事
⇒摂取カロリーを増やす (エネルギー収支はプラスにするのが大事)
⇒タンパク質の摂取
・トレーニング(食事と合わせた場合)

 

~分解を促すもの~
・トレーニング(食事をしない場合)
・空腹
・その他ストレスなど

 

なので、トレーニングをしても、食事をせねば筋肉量・筋力UPは非常に難しくなるわけです。大切なのでもう一度言います。トレーニングしても食事をしないとそのトレーニングは無駄になります。

 

エネルギー収支をプラスにし、タンパク質量(1.6g/kg)を確保する

筋肉量・筋力を効率的に高める食事には、大きく2つのポイントがあります。

 

 

エネルギー収支はプラス

エネルギー収支がマイナスだと痩せます(分解が促進されている)。これは当たり前です。エネルギーが足りない分は、必ず身体の何かしらの組織を分解して、エネルギーを補償しているからです。

 

ここで「身体は分解状態なのに、筋肉だけ合成してくれ」というワガママは多くの場合通用しません (初心者&肥満者を除く)。なので、筋肉量・筋量UPを狙ってトレーニングを続けるには、体重は微増状態が好ましいと言えます。

 

(脂肪を付け過ぎず筋量を増やす目安としては、1週間で体重0.25-0.5%増?(ボディビルダー向けの戦略ですがこれは使えそうだなと感じます。跳躍、短距離ならもう少し遅いペースの方が安全かもしれませんが参考にしてみてください)(Iraki et al.,2019)。

 

 

タンパク質;体重(kg)×1.6g/day~

筋肉の材料となるタンパク質の摂取は欠かせません。筋肉だけでなく、骨や血液、腱や臓器、血管など様々な組織の修復材料になります。特にハードにトレーニングする短距離、跳躍、投てき選手はより多くのタンパク質が必要です。

 

 

目安としては、体重1㎏あたり1.6gを1日に摂取するのが良いとされています(Morton et al.,2018)。分かりにくければ、よく言われる体重×2gでいいと思います。覚えやすいですし。

タンパク質は何に多い?

では、このタンパク質はどのような食材に多いのでしょう?ということで、タンパク質が多い食材と注意点、および「手軽にタンパク質確保できるコンビニ食品」についてまとめています。

 

 

 

 

筋量・筋力を高める栄養摂取のチェックリスト

これらを基に、こんな感じでやれてればおおよそ筋肉量は付いてくるだろうというチェックリストをまとめています。

 

 

まずは、カロリー収支がプラスかどうかを気にしましょう。少なくとも体重が減少傾向でないことが重要です。かといって暴飲暴力はダメですが、すこーしづつ体重が微増していく感じがあれば大丈夫でしょう。

 

次に、タンパク質を確保しましょう。これはよく言われる体重×2gあたりを目安に。できる限り3食に分けて、プロテインなども活用すると良いでしょう。朝のタンパク質は特に不足しやすいので注意です。

 

続いて脂質です。脂質の完全カットは好ましくありません。どうしても「脂質は太る」というイメージが強いですが、脂質を極端に減らすことはは筋量UP、精神安定、その他健康状態に関わるホルモンが減りやすくなることがある(Volek et al.,1997)ため、総カロリーの2割は確保できると良いでしょう。

 

そして、トレーニングを高い強度で多くこなすためにも、トレーニング量に見合った糖質の摂取が重要です。そもそものトレーニングがガシガシこなせなければ、どんなに良い栄養を摂ったとしても効果が上がりません(糖質の摂取量については以降の記事で紹介)。

 

体重増えたか?ではなく筋量・筋力がUPしているか?が大事

最後にこれだけは確認しておくべきでしょう。というのが、ここでは「体重を増やせ」と主張しているわけではないということです。あくまで「体重が微増」の方が筋量筋力に適した状態だよと言っているわけであって、体重増やせと言っているわけではありません。

 

短距離、跳躍、投てき選手が体重だけ増えても意味はありません。大事なのはトレーニングによって、「狙った筋量・筋力がUPしているか?」です。これが無ければただ単にデブっただけだということになってしまいます。

 

体重を微増状態にするのはあくまで「筋肉量・筋力UPのための手段」です。手段と目的をはき違えないようにしましょう。さらに付け加えれば、「筋肉量・筋力UP」も「種目のパフォーマンスを高める手段」です。

 

 

最終的な目的地はどこかを見失わずに、理想的なトレーニングや食事を続けていかなければなりません。

 

 

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参考文献

・寺田新. (2017). スポーツ栄養学: 科学の基礎から 「なぜ」 にこたえる. 東京大学出版会.
・Morton et al. (2018). A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. Br J Sports Med, 52(6), 376-384.
・Iraki et al. (2019). Nutrition recommendations for bodybuilders in the off-season: A narrative review. Sports, 7(7), 154.
・Volek et al. (1997).Testosterone and cortisol in relationship to dietary nutrients and resistance exercise. Journal of Applied Physiology, 82(1), 49-54.

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