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第23回「身体作りの基本となる栄養摂取ほど面白くないものはない」

第23回「身体作りの基本となる栄養摂取ほど面白くないものはない」

前回の記事では、瞬発系アスリート、および持久力が必要となるアスリートがトレーニングをガシガシ積んで、トレーニング効果をより高めていくための「糖質摂取」について紹介してきました。

 

 

そこでここでは、アスリートが身体作り行う上で重要な食事のポイントというのが、いかに単純で面白くないかについて紹介します。

トレーニングをしっかりこなすために必要なエネルギー量

 

※寺田(2017)より作成

 

表は、各種目のアスリートがトレーニングをこなしていくうえで必要となる1日のエネルギー量を示したものです。体格や運動量によって大きな差があることは当然ですが、一つの目安にして下さい。

 

この表の下限よりも大きく摂取エネルギー量が足りていない場合、食事量を増やしていく必要があります。トレーニング量に見合った食事を摂りましょうということです。何一つ画期的で面白いことはありませんが、これが最も重要です。

 

ただ、その少ない食事量で体重がキープされている場合、普段の代謝量が著しく低下している場合があるので、食事の増やし方には注意が必要です。代謝が低いまま急激に摂取エネルギーを増やせば、それは思わぬ体脂肪の増加につながってしまう可能性があるからです。食事量の増加を行うなら、徐々に増やしていくことを心がけましょう。

 

※特に女性アスリートなどは、体重増加への恐れから極端に食事量を減らしつつ、多量のトレーニングを行っている場合があります。この習慣によって、代謝が著しく低下した「超省エネの身体」になっていると、上の表に示されているエネルギー量よりもはるかに少ない食事量でも、体重がキープされます。代謝が低すぎるため、他人と同じような食事を少々行うだけで、大きな体重の増加を伴うことが考えられ、そのの恐れからなかなか食事量を増やそうとしない選手は多いです。しかし、それではトレーニング量の増加に対応できなかったり、身体の修復が間に合わず、パフォーマンスの低下や怪我につながるリスクは大きく高まると考えられ、近年問題視される女性アスリートの三主徴にもつながりかねません。そのような状況では、まず「体重の増加=パフォーマンスの低下」ではないことを理解するところから始めなければいけません(関連記事参照)。

 

関連記事

3食しっかり食べよう

食事は3食しっかりと食べることが重要です。これも全く面白みのないことですが、極めて重要です。

 

特に朝食を摂ること、朝食の質は意識するべきでしょう。朝食を抜くと午後の高強度持久運動のパフォーマンスに悪影響が出ることがあったり(Cornford& Metcalfe,2019;Clayton et al.,2015)、朝食の有無は筋肉量の保持増進にも役立つからです(Yasuda et al.,2018)。それがなぜかというと、一日の総摂取エネルギーを増やしやすくできたり、空腹時間を減らすことによって、筋肉の分解が防ぎやすくなると考えられるからです。

 

 

これに関して、朝食は1日の食事の中で最もタンパク質が不足しやすいとも言われています。朝食は食パン一枚で終わらせないようにしましょう。

 

栄養摂取はタイミングも重要だけど、1日の全体量が最も重要

「プロテインはトレーニング後のゴールデンタイムに!」とよく言われるものですが、それよりも最も重要なのは1日の全体量の確保です(Schoenfeld et al.,2013)。タイミングをいくら意識しても、1日の全体量が確保できていなければ、高い効果は得られません。

 

 

これはその他の栄養素についても同様です。不足する栄養素が出ないように、1日トータルで必要量を確保できることが、パフォーマンスを高めるために最も重要なわけです。何も面白いことはなく、当たり前のことが当たり前にできていることが、強くなる選手の条件です。

 

 

これまでのポイントを踏まえた身体を作るための食事ポイント

・3食食べて、タンパク質は体重×2g、脂質は総摂取エネルギー量の20%程度、運動量に見合った糖質を摂取しよう。

 

これができていない人がこれをやると、絶大な効果を発揮します。巷のよくわからないサプリメントに手を出すよりも100倍効果があります。ぜひ試してみてください。

 

 

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参考文献

・寺田新. (2017). スポーツ栄養学: 科学の基礎から 「なぜ」 にこたえる. 東京大学出版会.
・Cornford, E., & Metcalfe, R. (2019). Omission of carbohydrate-rich breakfast impairs evening 2000-m rowing time trial performance. European journal of sport science, 19(1), 133-140.
・Clayton et al. (2015). Effect of breakfast omission on energy intake and evening exercise performance. Medicine & Science in Sports & Exercise, 47(12), 2645-2652.
・Yasuda et al. (2018) Skipping breakfast is associated with lower fat-free mass in healthy young subjects: a crosssectional study. Nutrition Research,60: 26-32.
・Schoenfeld et al. (2013). The effect of protein timing on muscle strength and hypertrophy: a meta-analysis. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 10(1), 53.

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