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ポン・ピュン・ラン走法(走りの科学を凝縮)

ポン・ピュン・ラン走法とは?

「ポン・ピュン・ラン」とは、福島大学の川本和久先生考案の「かけっこの基礎」を習得するための指導方法です。

 

タイトルにある通り、走りの科学が凝縮されており、かつ子供から大人まで、そのコツをイメージしやすい走りの習得方法だと言えるでしょう。

 

「ポン・ピュン・ラン」とは?

 

~「ポン・ピュン・ラン」の要点~
・足で真下に踏みながら、身体をポンッと弾ませる
・そこにタイミングよく、腿をピュンッとスイングさせる
→これを連続してピッチアップ

 

 

「ポン・ピュン・ラン」は理にかなったかけっこ習得アプローチ

「ポン」走りとバネ

ポンッと弾むような姿勢作り、身体作りは速く走るために欠かせない要素です。これは初心者でも、トップスプリンターでも変わりません。

 

走っている時には、一歩一歩身体を浮かせる必要があります。速く前に進めば進むほど、地面に足が着いている時間が短くなっていくので、この短い時間で弾めないと、それ以上速く走ることができなくなります。

 

なので、短い時間でポンッと弾むような足の硬いバネが、速く走るために非常に重要になるわけです。また、そのための姿勢づくりも重要です。

 

 

 

特に足首で衝撃に耐えられる硬いバネは、短い時間で弾むために重要です。これがないと接地が間延びしたベタ足走りになってしまいます。

 

 

実際に高いレベルのスプリンターでは、接地の時に足首が衝撃に耐えてぐにゃっと曲がらないようにするパワーが高いと言われており、蹴り出しで足首や膝が「ビローン」と伸びるように使われていません(伊藤ほか,1998;渡邉ほか,2003)。

 

まるで脚が硬いカーボンのようになっているというわけです。

 

・足が速い人の特徴「陸上短距離におけるフォームの科学」

 

・腰が低いベタ足走りの原因と改善方法

 

 

走りと振り込み動作

「ピュンッ」と腿を勢いよく振り込む動作も、脚が速い選手の特徴です。

 

小学生や一般スプリンターで足の速い選手は、この動作の結果、かかとが深く引き付けられるような動作が見えます(伊藤ほか,1998;木越ほか,2012)。

 

 

また、速く走るためには後ろに素早く流れていく脚を一瞬で前に引き出す必要があるので、この時に大きな力が必要になります。なので、腿を力強く前に引き出すための筋肉、大腰筋の強さは足の速さと深く関連しているわけです。

 

 

実際に、トップスプリンターでは腿を前に引き出すパワーが非常に高く、接地の時に反対腿がより前にあると言われています(矢田ほか,2011および2012)。

 

そしてこの振り込み動作を使って、短い時間で身体を弾ませる力を生み出すこともできるので、接地の瞬間に一発で、タイミングよくこの動作を行うことが重要です。

 

・陸上短距離走者における「足の流れ」の原因と改善方法

 

・「乗り込み」ってそもそも何?誰でもできるの?が知りたい人へ

 

 

ポン・ピュン・ランの習得

ポンッと弾むトレーニング

短く弾む姿勢作り

爪先からつむじまで一直線になるように、姿勢をつくります。やや胸を張って、顎を引き、つむじが天から引っ張られているようなイメージです。下図は縄跳びをしながらの姿勢づくりです。

 

 

この状態で、縄跳びをする様に短く弾んでみましょう。ゴムボールになった気分で、ポンッと弾むイメージをします。

 

軸づくりの例

 

 

バネ作り

姿勢作りができたら、足の硬いバネを鍛えていく必要があります。縄跳びやハードルを使って、短い時間で高く弾む意識で行うと良いでしょう。

 

縄跳びトレーニング

 

ハードルジャンプ

 

 

ピュンッと、振り込む動作のトレーニング

振り込み動作を習得するには、腿を前に勢いよく引き出す筋力が必要です。

 

重りを使った筋力トレーニングや、ミニハードルを使ったドリル、腿のスイングを意識したスプリントドリルなどで改善していくと良いでしょう。

 

ミニハードルを用いた「ポンとピュンを同時に行うスプリントドリル」

 

ポンとピュンは同時に一発で決めることが重要です。「ポンの後に、ピュン」というイメージでは、「ピュン」を行う前に、地面から端が離れてしまいます。

 

接地の瞬間に素早く「4の字」を作るイメージで練習すると良いかもしれません。

 

 

 

ピッチアップ

最後に、ここまで紹介してきた「ポン・ピュン」を連続で繰り返して、ピッチアップをしていきます。ピッチを上げて、練習してきたポンとピュンの動きが崩れてしまわないように、リラックスして行います。

 

マーカーを使ってストライドを一定に保ちながら、動作を崩さないようにピッチアップを狙ったりすることも有効でしょう。

 

マーカー走の例

 

「ポン・ピュン・ラン」を使って、走りの基礎を磨いていきましょう!

 

 

マーク走や前さばきの練習についてはコチラ

・陸上短距離選手におけるマーク走のやり方と意識、期待できる効果について

 

・短距離・跳躍「前さばき」の習得

 

参考文献

・渡邉信晃, 榎本靖士, 大山卞圭悟, 宮下憲, 尾懸貢, & 勝田茂. (2003). スプリント走時の疾走動作および関節トルクと等速性最大筋力との関係. 体育学研究, 48(4), 405-419.
・伊藤章, 市川博啓, 斉藤昌久, 佐川和則, 伊藤道郎, & 小林寛道. (1998). 100m 中間疾走局面における疾走動作と速度との関係. 体育学研究, 43(5-6), 260-273.
・木越清信, 加藤彰浩, & 筒井清次郎. (2012). 小学生における合理的な疾走動作習得のための補助具の開発. 体育学研究, 57(1), 215-224.
・久野譜也, 金俊東, & 衣笠竜太. (2001). 体幹深部筋である大腰筋と疾走能力との関係 (特集 スポーツにおける体幹の働き). 体育の科学, 51(6), 428-432.
・矢田恵大, 阿江通良, & 谷川聡. (2012). 世界一流および学生短距離選手の回復脚におけるキネティクス的相違. 陸上競技研究, 2012(3), 9-16.
・矢田恵大, 阿江通良, & 谷川聡. (2011). 標準動作モデルによる世界一流および学生短距離選手の疾走動作の比較. 陸上競技研究, 2011(4), 10-16.

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