このバネの正体とは、ずばり「腱」です。筋肉は腱とつながっており、その腱は骨に繋がっています。
例えばふくらはぎの筋肉は、アキレス腱とつながっています。そしてこのアキレス腱は踵にくっ付いており、筋肉が発揮した力を合理的に骨に伝える役割を持っています。
縄跳びをするようなジャンプしたとき、筋肉は力を発揮して「キュッ」と硬く収縮します。この時、自ら縮むことはしないアキレス腱は、強く素早く引き伸ばされることになるわけです。
そして、強く素早く引き伸ばされた腱は、ゴムのように引き伸ばされたエネルギーを蓄えることになり、その後パチンコのように一気に短縮しようとすることで、大きなパワーを生み出します。これが、バネの正体です。
このバネのような運動、「ストレッチショートニングサイクル運動(SSC運動)」とも呼ばれており、爆発的な運動パフォーマンスを高めるために重要な役割を担っていることが分かっています。
また、ランニングでの一歩一歩においてもこの「バネの力」が常に働いているため、この「バネの力」は効率よく、速く走るためにも重要な能力であると推測できるでしょう。
なぜ、筋肉や腱をこのように使うことで大きな力を発揮することができるのでしょうか?これには、筋肉のある特性が関連しています。
筋肉は、勢いよく引き伸ばされると、自然に縮もうとする反応が起きます。これは「伸張反射」と言われています。また、筋肉は「縮みながら」よりも「勢いよく引き伸ばされながら」の方が、大きな力を発揮することができるという性質を持っています。
ジャンプをする瞬間では筋腱が勢いよく引き伸ばされ、伸張反射とともに非常に大きな力を発揮しています。また、引き伸ばされながら力を発揮しようとすることで、筋肉が力を発揮するための時間を長くとることができるようになります(筋肉が最大の力を発揮するまでには、実は時間がかかる)。
つまり、ジャンプ時では筋肉が大きな力を長い時間かけて発揮して、筋腱が引き伸ばされるゴムのようなエネルギー(弾性エネルギーと言います)を多く蓄えられるようになり、それを一気に放出することで大きなパワーを生み出せているということです。
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