筋トレを多く行ったり、一度に限界まで回数をこなして追い込むようなことをすると、パンプアップが起こりやすくなります。先述の通り、これは筋肉の代謝物がたくさん出ることが関連しています。
では、このパンプアップしたような状態というのは、トレーニング効果にどのような影響をもたらすのでしょうか?
筋肥大に関わる5要因
筋肥大に関わる重要な要因として、石井(2015)は、以下の5要因を挙げています。その中に、パンプアップがトレーニング効果に及ぼす影響を理解するためのカギが隠れていそうです。

メカニカルストレスというのは、筋が発揮した力学的な仕事の量、つまり筋肉がどれだけ力を発揮したかです。やはり、少ないトレーニングで筋肉を大きくすることが難しいということは、トレーニング経験者であれば経験的に理解できることでしょう。より多くの張力を発揮させることは、筋肥大を生むために最も重要な要因だと考えることができます。
筋の損傷・再生とは、トレーニングによって付いた筋肉の微細な傷が生むトレーニング効果のことを指します。筋肉が伸びながら力を発揮する伸張性のトレーニングなどでは、この微細な損傷が起こりやすく、筋肉痛が伴います。この組織の再生過程において、筋肉が増えやすくなるというものです。しかし、伸張性のトレーニング負荷が大きすぎると、逆に筋肉が分解されやすくなってしまうことがあるため、そのトレーニング強度や量に注意を払う必要があります。
次に、ホルモン・成長因子です。これはトレーニングによって分泌されるもので、代表的なものにテストステロンやインスリン様成長因子(IGF-1)が挙げられます。トレーニングの休息時間を短くしたり、筋肉が長時間力を発揮するようなストレスにさらされると、これらのホルモンや成長因子が分泌されやすいと言います。
代謝環境は、筋肉がどれほどエネルギー源を分解して、代謝物を出せたかが関わります。また、酸素環境というのは、筋肉の中の酸素環境の悪さのことで、血流を制限するなどで酸素の供給を制限することにより、筋肥大効果を高めることができるとも言われています。
以上が、筋肥大を生む要因として挙げられているものです。
さて、パンプアップとは、筋肉の代謝物が溜まった状態でした。この状態を作るためには、より多くのエネルギーを生み出して代謝物を出すことが必要になります。そして、ある程度回数をこなさなければ、パンプした状態を作ることはできません。
つまり、代謝物を多く生み出してパンプするようなトレーニングを多くやれば、必然的にメカニカルストレスも増え、筋肥大に関わるホルモンや成長因子も増え、より筋肥大効果を高めることにつながりそうだと推察できます。
実際に、筋肉をデカくすることを専門にしているボディビルダー界では、パンプアップするようなトレーニングが良く用いられています。経験的にも、筋肥大によさそうだ…ということを、彼らは無意識のうちに理解しているのかもしれません。