運動後は筋グリコーゲンを素早く回復させることが大切
トレーニングや試合を終えて、次の運動までが数時間、翌日…などと比較的短いスパンの場合、いかにリカバリーができるかどうかが、次の運動パフォーマンスに影響します。
リカバリー度合の指標の一つに、筋グリコーゲンが挙げられます。筋グリコーゲンとは、筋肉の中に蓄えられている糖質のことです。強度の高い運動を長く続けるためには、このグリコーゲンを多く蓄えておくことが必要です。
一般に、トレーニングや試合でグリコーゲンを消耗した後、すぐに糖質を摂取することが重要だと言われています。直後に摂取した場合と、2時間経ってからの摂取では、グリコーゲンの回復度合いが2倍近く異なります。

糖質とタンパク質+ロイシンの摂取でグリコーゲンの回復を促す
また、糖質と一緒にタンパク質を摂取することで、このグリコーゲンの回復をさらに促すことができることが分かっています。

これは、糖質と一緒にタンパク質を摂取することによって、インスリンというホルモンがより多く出るからだと言われています。
※インスリン
血液中の糖(グルコース)、いわゆる血糖値が上がった時に、その糖を筋肉や肝臓、脂肪に蓄えさせようとするホルモン。そうすることによって血糖値が下がる。
また、Koopmanほか(2005)の研究では、糖質とタンパク質に加えてロイシンを摂取させることで、インスリンの反応がさらに良くなったとされています。

ロイシンとは必須アミノ酸の一つで、筋肉の合成を促す効果がある、分岐鎖アミノ酸(BCAA)です。このロイシンはインスリンを分泌させるため、糖質やタンパク質によるインスリンの分泌との相乗効果によって、インスリンの反応がさらに高まったということが考えられます。
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グリコーゲンの回復を促すために、糖質やタンパク質と一緒に、市販のBCAAサプリメントなどを摂取すると良いかもしれません。
参考文献
・Ivy, J. L., Katz, A. L., Cutler, C. L., Sherman, W. M., & Coyle, E. F. (1988). Muscle glycogen synthesis after exercise: effect of time of carbohydrate ingestion. Journal of Applied Physiology, 64(4), 1480-1485.
・寺田新. (2017). スポーツ栄養学: 科学の基礎から 「なぜ」 にこたえる. 東京大学出版会.
・Zawadzki, K. M., Yaspelkis 3rd, B. B., & Ivy, J. L. (1992). Carbohydrate-protein complex increases the rate of muscle glycogen storage after exercise. Journal of Applied Physiology, 72(5), 1854-1859.
・Koopman, R., Wagenmakers, A. J., Manders, R. J., Zorenc, A. H., Senden, J. M., Gorselink, M., ... & van Loon, L. J. (2005). Combined ingestion of protein and free leucine with carbohydrate increases postexercise muscle protein synthesis in vivo in male subjects. American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism, 288(4), E645-E653.