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第8回「パワー、バネ、スピードを高めるトレーニング手段と方法」

パワー、バネ、スピードのトレーニング方法

前回の記事では、短距離・跳躍・投てき選手がパフォーマンスを高めるための土台の能力に当たる「筋肉量・筋力UP」のトレーニング手段と方法について、紹介しました。

 

 

ここでは、トレーニングピラミッドの上位部分である「一瞬で、高速で、バネのような筋力を高める」ためのトレーニング手段・方法について紹介していきます。

 

一瞬での力発揮を高める

第5回で、「筋肉が大きくなっただけ、最大筋力が高まっただけ」では、パフォーマンスにはなかなかつながりにくいという話をしました。筋量を増やして、最大筋力を高めることは、あくまでも実際の競技でのパワーを高めるための土台に過ぎません。なので、競技パフォーマンスにつながる「一瞬での、高速での、バネのような筋力」を高める必要が出てきます。

 

 

まず、一瞬での力発揮を高めるためには当然、「一瞬で力を発揮するようなトレーニング」が必要です。言ってしまえば「その種目の練習を高出力でガシガシやる」ことも、その一つの手段になります。

 

その他には、より大きなパワーが必要になるウエイト種目(クリーン、スナッチ、ジャーク、ジャンプスクワット)や、メディシンボール投げ、バウンディングなどのジャンプ系のトレーニングなどでも、一瞬での力発揮を高めることにつながります。

 

また、前回の記事で筋肉量や筋力を向上させるトレーニング例として紹介していたウエイトトレーニングを行うことでも、この「力の立ち上がり率」を改善することができます。

 

 

 

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高速での力発揮を高める

高速での力発揮を高めるためには、当然「スピードを出したトレーニング」が重要です。これも言ってみれば「競技種目そのもののトレーニング」をガシガシやったり、その種目よりも高いスピードが出るようなトレーニングが有効です。

 

例えば、短距離走の「トーイング走」「下り坂スプリント」などで、普段より高いレベルでのスピードの刺激を与えたり、投てきであれば「実際よりも軽い投てき物」を投てきするトレーニングなどが挙げられます。

 

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以下の動画のように、バンドで速度をアシストしたジャンプトレーニングなども有効でしょう。

 

関連動画(バンドアシストジャンプ・プッシュアップトレーニング)

 

また、高速での力発揮には「縮む速度が高いトレーニング」「引き伸ばされる速度が高いトレーニング」とがあり、この「引き伸ばされる速度が高いトレーニング」も重要な意味を持ちます。動作を素早く切り返したり、反動動作を素早く使って大きな力を生み出すためには、「引き伸ばされながら筋肉が大きな力を発揮できること」が重要だからです。

 

この「引き伸ばされながら大きな力を発揮する能力」を高めるためには、これもその種目そのもののトレーニングをガシガシやることはもちろん、反動を使う、素早く動作を切り返すトレーニングが重要です。

 

反動を使ってメディシンボールを投げたり、ジャンプスクワットを連続で行ったり、短距離走であれば、ピッチが高まるような少し狭めのマーカー走を行ったり、工夫次第で様々なトレーニングを考えることができます。

 

 

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バネのような力発揮を高める

競技力向上につなげるための「バネのような筋力」を高めるためには、これも当然ながら種目そのもののトレーニングをガシガシやることが重要です。加えて、反動を使って大きな力を生み出すことに特化したトレーニングも有効でしょう。例えば、ハードルジャンプやバウンディングなどのジャンプトレーニングです。

 

また、この反動の使い方にも「反動動作の長いもの」「反動動作の短いもの」があります。

 

反動動作が長いものの例を挙げると、立幅跳や垂直跳、ボックスジャンプ(ボックス飛び乗り)などです。これらの能力は、短距離走で言うスタート直後の加速能力に関連します。一方、反動動作が短いものには、バウンディングや立五段跳、ハードル連続ジャンプ、リバウンドジャンプ、縄跳びなどが挙げられます。

 

どちらの能力も高めることが重要です。特にジャンプ系のトレーニングは、より水平方向にジャンプするもの、鉛直方向にジャンプするものを組み合わせて行うのが良いでしょう。

 

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「1つのトレーニング効果は1つ」とも言えるし、無限とも言える

ここまで「一瞬での、高速での、バネのような筋力」を高めるトレーニングについて紹介してきましたが、どれも似たようなものばかりです。

 

連続ハードルジャンプを行えば、高いスピードで筋肉が引き伸ばされながらの力発揮、一瞬での力発揮、それに伴うバネのような力発揮など、色々な能力向上につながります。反動を使って大きな力を発揮したり、高いスピードで力発揮したりする運動には、「一瞬での、高速での、バネのような筋力の全て」が必要なものが多いからです。また、そのようなトレーニングは少なからず、最大筋力を高めることにもつながったり、筋肉を大きくすることにもつながり得ます。

 

何かトレーニングをすれば、何かの効果が生まれます。トレーニングを考えるときは、そのトレーニングの効果として、「特に効果があるのはどのような能力に対してなのか」を整理できることが大切です。高速での力発揮を高めたいのであれば、高速での力発揮に特に効果がありそうなものをチョイスできなければなりません。

 

また、「何かトレーニングをすれば、何かの効果が生まれます」と言いましたが、じゃあそのトレーニングに、特に何に効果があるのか?と聞かれれば、それは「そのトレーニングを行う能力に効果がある」となります。ハードルジャンプをやれば、ハードルジャンプの能力が上がりますし、スクワットをやればスクワットをやる能力が上がります。このように考えると「1つのトレーニングの効果は1つ」です。

 

このように、そのトレーニングをやれば、トレーニングそのものがまず伸びます。そして、そのトレーニングの能力が上がった結果、他の様々な運動パフォーマンスも向上する可能性が上がる場合があるわけです。こう考えると、1つのトレーニングによる効果は無限です。

 

そして一番考えなくてはならないのは、そのトレーニング効果が「専門種目のパフォーマンスに上手く転移するかどうか」です。これが起こせなければ、どんなにそのトレーニングそのものの能力が向上しても、意味がありません。

 

どうやれば自信の種目のパフォーマンスが向上するかに目を向けて、自分の弱点、伸びしろはどこかを分析しながら、トレーニング手段・方法を決定していく必要があります。

 

 

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